242 / 258
side マグダナ
3
しおりを挟む
ヒルダは言った。
トーマスに相談され、悩んだ挙句、二人でその子を育てることにしたのだと。
確かに、トーマスは優しい男だった。
私が子供の頃からトーマスは城に仕えており、私のこともとても可愛がってくれていた。
信頼出来る人物だと思っていたし、私に逆らった事など一度もなかった。
だからこそ、私は彼がそんな勝手なことをするとは思ってもみなかったのだ。
ヒルダの話によると、トーマスは母親にその子を託したらしい。
誰にもみつからないように、森の中でひっそりと暮らしていたようだ。
トーマスが亡くなって何年かが過ぎたある時、ヒルダがそこを訪ねたら、そこはもぬけの殻だったという。
その後、その子の行方はわからなくなっていたらしいのだが、ある時、ヒルダは城の中でその子に出会った。
最後に見たのは、まだ子供の頃だというのに、ヒルダには一目でわかったらしい。
それが、私の産んだ子なのだと。
「面差しがマグダナ様に良く似てらっしゃいますから。」
ヒルダはそう言って、笑った。
トーマスの付けた『フェルナン 』という名も符合していた。
ヒルダは、ある時、フェルナンの右肩に痣があるのを確認し、間違いなくあの子だと確信したそうだ。
右肩の痣...それは、シルヴェールの右肩にも存在する。
つまり、フェルナンはシルヴェールの子だったのだ。
トーマスに相談され、悩んだ挙句、二人でその子を育てることにしたのだと。
確かに、トーマスは優しい男だった。
私が子供の頃からトーマスは城に仕えており、私のこともとても可愛がってくれていた。
信頼出来る人物だと思っていたし、私に逆らった事など一度もなかった。
だからこそ、私は彼がそんな勝手なことをするとは思ってもみなかったのだ。
ヒルダの話によると、トーマスは母親にその子を託したらしい。
誰にもみつからないように、森の中でひっそりと暮らしていたようだ。
トーマスが亡くなって何年かが過ぎたある時、ヒルダがそこを訪ねたら、そこはもぬけの殻だったという。
その後、その子の行方はわからなくなっていたらしいのだが、ある時、ヒルダは城の中でその子に出会った。
最後に見たのは、まだ子供の頃だというのに、ヒルダには一目でわかったらしい。
それが、私の産んだ子なのだと。
「面差しがマグダナ様に良く似てらっしゃいますから。」
ヒルダはそう言って、笑った。
トーマスの付けた『フェルナン 』という名も符合していた。
ヒルダは、ある時、フェルナンの右肩に痣があるのを確認し、間違いなくあの子だと確信したそうだ。
右肩の痣...それは、シルヴェールの右肩にも存在する。
つまり、フェルナンはシルヴェールの子だったのだ。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
旦那様、そんなに彼女が大切なら私は邸を出ていきます
おてんば松尾
恋愛
彼女は二十歳という若さで、領主の妻として領地と領民を守ってきた。二年後戦地から夫が戻ると、そこには見知らぬ女性の姿があった。連れ帰った親友の恋人とその子供の面倒を見続ける旦那様に、妻のソフィアはとうとう離婚届を突き付ける。
if 主人公の性格が変わります(元サヤ編になります)
※こちらの作品カクヨムにも掲載します
断罪後の気楽な隠居生活をぶち壊したのは誰です!〜ここが乙女ゲームの世界だったなんて聞いていない〜
白雲八鈴
恋愛
全ては勘違いから始まった。
私はこの国の王子の一人であるラートウィンクルム殿下の婚約者だった。だけどこれは政略的な婚約。私を大人たちが良いように使おうとして『白銀の聖女』なんて通り名まで与えられた。
けれど、所詮偽物。本物が現れた時に私は気付かされた。あれ?もしかしてこの世界は乙女ゲームの世界なのでは?
関わり合う事を避け、婚約者の王子様から「貴様との婚約は破棄だ!」というお言葉をいただきました。
竜の谷に追放された私が血だらけの鎧を拾い。未だに乙女ゲームの世界から抜け出せていないのではと内心モヤモヤと思いながら過ごして行くことから始まる物語。
『私の居場所を奪った聖女様、貴女は何がしたいの?国を滅ぼしたい?』
❋王都スタンピード編完結。次回投稿までかなりの時間が開くため、一旦閉じます。完結表記ですが、王都編が完結したと捉えてもらえればありがたいです。
*乙女ゲーム要素は少ないです。どちらかと言うとファンタジー要素の方が強いです。
*表現が不適切なところがあるかもしれませんが、その事に対して推奨しているわけではありません。物語としての表現です。不快であればそのまま閉じてください。
*いつもどおり程々に誤字脱字はあると思います。確認はしておりますが、どうしても漏れてしまっています。
*他のサイトでは別のタイトル名で投稿しております。小説家になろう様では異世界恋愛部門で日間8位となる評価をいただきました。
あの子を好きな旦那様
はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」
目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。
※小説家になろうサイト様に掲載してあります。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる