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side フェルナン

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(もう朝か……)



 窓から差し込む明るい日差しと小鳥のさえずりで、私は夜が明けたことを知った。
 長椅子に腰掛けたまま、今の今まで、私はずっと考え続けていた。



そう……心の奥底では私もわかっている。



リゴレットの王女たるサキと、庶民である私が結ばれる道理がないことは。



わかっていても、私の心はそのことを認めようとはしなかった。
いやだ!サキを失いたくない!と、子供のように駄々をこねていた。



 多分…マリウスの言うことが正しいのだ。
 私を追っていたのではないとわかったから、また家に戻っても良いのだが、そんなことをしたら余計に辛くなる。
あの家には、サキとの思い出があるから。



だから、マリウスと共にガザンの再興に汗を流せば、その時だけでもサキのことを忘れられるかもしれない。
 充実感だって感じられるかもしれない。



そうは思うものに、私はそうする気にはなれなかった。



 私は立ち上がり、荷物をまとめた。
マリウスは、もうすぐきっとここに来るだろう。
 今は、彼と顔を合わせたくない。



 荷物をまとめた私は、そそくさと宿を後にした。
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