152 / 258
隠し部屋で
5
しおりを挟む
「シャルアさん、私の恋の話を聞いて下さいますか?」
「えぇ、ぜひ聞かせて下さい。」
「私の職場に、小林さんって方がいました。
その人は笑顔がとても素敵な人でした。
笑うと少年のように無邪気な顔になるんです。」
私は小林さんとのことをシャルアさんに話した。
シャルアさんは微笑みながら、とても楽しそうにそれを聞いてくれた。
ここには、映画もテレビもない。
本はあるみたいだけど、恋愛小説みたいなものはきっとないと思う。
だから、せめて私の話で、恋がどんなものなのか、それを伝えたくて...
たとえ、想像の中だけでも、シャルアさんに恋を知って欲しくて、私は一生懸命に話した。
「それで...『 もし、僕の勘違いじゃないなら付き合ってほしい 』っていうメモが入ってて...」
「そうだったのですね。
では、私がこちらへ呼ばなければ、あなたは小林さんとお付き合いが出来たのですね...」
「はい。でも、良いんです。
小林さんのことは確かに好きでしたが、多分...私の運命の人ではないと思うんです。」
「運命の...人?」
「はい。赤い糸で結ばれた運命の相手です。
異界には、運命で決められた男性と女性は、お互いの小指に結ばれた赤い糸で繋がっているという言い伝えがあります。」
「素敵な伝説ですね...」
その声には、なんとも言えない寂しさのようなものが感じられた。
「えぇ、ぜひ聞かせて下さい。」
「私の職場に、小林さんって方がいました。
その人は笑顔がとても素敵な人でした。
笑うと少年のように無邪気な顔になるんです。」
私は小林さんとのことをシャルアさんに話した。
シャルアさんは微笑みながら、とても楽しそうにそれを聞いてくれた。
ここには、映画もテレビもない。
本はあるみたいだけど、恋愛小説みたいなものはきっとないと思う。
だから、せめて私の話で、恋がどんなものなのか、それを伝えたくて...
たとえ、想像の中だけでも、シャルアさんに恋を知って欲しくて、私は一生懸命に話した。
「それで...『 もし、僕の勘違いじゃないなら付き合ってほしい 』っていうメモが入ってて...」
「そうだったのですね。
では、私がこちらへ呼ばなければ、あなたは小林さんとお付き合いが出来たのですね...」
「はい。でも、良いんです。
小林さんのことは確かに好きでしたが、多分...私の運命の人ではないと思うんです。」
「運命の...人?」
「はい。赤い糸で結ばれた運命の相手です。
異界には、運命で決められた男性と女性は、お互いの小指に結ばれた赤い糸で繋がっているという言い伝えがあります。」
「素敵な伝説ですね...」
その声には、なんとも言えない寂しさのようなものが感じられた。
0
お気に入りに追加
115
あなたにおすすめの小説
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
そう言うと思ってた
mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。
※いつものように視点がバラバラします。
最初から最後まで
相沢蒼依
恋愛
※メリバ作品になりますので、そういうの無理な方はリターンお願いします!
☆世界観は、どこかの異世界みたいな感じで捉えてほしいです。時間軸は現代風ですが、いろんなことが曖昧ミーな状態です。生温かい目で閲覧していただけると幸いです。
登場人物
☆砂漠と緑地の狭間でジュース売りをしている青年、ハサン。美少年の手で搾りたてのジュースが飲めることを売りにするために、幼いころから強制的に仕事を手伝わされた経緯があり、両親を激しく憎んでいる。ぱっと見、女性にも見える自分の容姿に嫌悪感を抱いている。浅黒い肌に黒髪、紫色の瞳の17歳。
♡生まれつきアルビノで、すべての色素が薄く、白金髪で瞳がオッドアイのマリカ、21歳。それなりに裕福な家に生まれたが、見た目のせいで婚期を逃していた。ところがそれを気にいった王族の目に留まり、8番目の妾としてマリカを迎え入れることが決まる。輿入れの日までの僅かな時間を使って、自由を謳歌している最中に、ハサンと出逢う。自分にはないハサンの持つ色に、マリカは次第に惹かれていく。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる