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隠し部屋で

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 「まぁ、そんなものが!?」



シャルアさんは、目を丸くしてそう言った。



 隠し部屋での暮らしは、思ったよりも快適だった。
 私の住んでた世界の話をすると、シャルアさんはとても真剣に聞いてくれて、しかもなんだか楽しそう。
だから、いつの間にか異界の話は私の日課となった。



そういえば、王族や一部の貴族以外、苗字すら持たないこことは違い、異界は戸籍やらなんやら面倒なことがある。
そういうものをどうやってクリアしたのかと思ったら、私の両親の他に魔法使いが一人、同行していたらしい。
きっと、その人がそういう煩わしいものをなんとかしてくれたんだろう。
ただ、どうしたことか、その魔法使いはこちらに戻って来るはずが、戻って来てないらしいのだけど。
 私のいた世界から、自発的にこっちに来ることは出来ないらしい。
こちらから呼び出さない限りは、来られないんだって。
 呼び戻した魔法使いが戻らなかったのは、腕輪を紛失したせいではないかと思われているようだ。



こんな風に、サンドラさんからはいろいろなことを教わった。
それだけじゃない。
 食事のマナーや、人の名前と顔を覚えさせられ、ダンスまで習っている。



これから私はシャルアさんに…
この国の王女になるのだから、知らないことなんてあってはいけないんだから。
 私は、高校の受験の時以上に、真面目に勉強している。
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