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side マリウス

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 「えっ!?そんなはずはありません。
 良く調べて…」

 「調べるも何もありません。
 私は侍女のことはすべて把握しております。
この城に、サキなんて侍女はおりません。」

 「あの…背丈は俺の肩くらいで、肩に着く程度の茶色い髪…
今まで記憶をなくしてこの城を離れていたが、数日前にここに戻った侍女なんですが…」

 「記憶を…?
 数日前にここに戻ったですって?
そのような者なら、なおさら私が知らないはずはありません。
 何かのお間違いじゃないですか?」

 「そ、それなら、王女様に会わせて下さい。
 王女様はサキのことを知っている。」

 「王女様はご静養のため、ここにはいらっしゃいません。」



 *



 「マリウス…どういうことなんだ?
ここにいないとしたら、サキは一体どこに行ってしまったんだ?」

いつもは冷静なフェルナンが、感情的な声を上げた。



 「落ち着け、フェルナン…」

 「これが落ち着いていられるか!
サキは行方不明なんだぞ!」

 「今夜、アンセルに話して、彼にサキのことを探ってもらう。」

 「おかしな様子はなかったのか?
 最後に会った時、サキはどんな様子だったんだ?」



その時はさほどおかしいとは思わなかった。
だけど、思い出してみれば、確かに何かおかしな感じはした。
 記憶を取り戻したというのに、あまり嬉しそうでもなかったし、自分のことをあまり話したがらないような感じもした。
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