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逃亡の果てに

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「ここから少し行ったら、ガザンの国だ。
ブラッサは、ジュミナの南端だからな。」

 「そうなんですね。ガザンっていうのはどんな国なんですか?」

 「ガザンは小さな国だ。
いや、国とはもう呼べないかもしれないな。」

フェルナンさんはどこか寂しそうにそう呟く。



 「……どういう意味ですか?」

 「ガザンの王は、大巫女アーリアの命に背いた。
そのせいで、ガザンは日照りに見舞われ、さらに、疫病が蔓延して、王族も皆、死に絶えた。」

 「あの…大巫女アーリアって?
アーリアの命ってなんですか?」

 「そんなことも覚えていないのか!?」

 「は、はい。」

フェルナンさんの驚きようから察するに、大巫女アーリアなる人物は、よほど有名な人なのだろう。



 「大巫女アーリアは、この世界の守り神のような存在だ。
 彼女の神託により、この世界の王族の婚姻が決められる。
アーリアの神託に逆らうことは、神に逆らうのと同じことだ。
 逆らって、無事でいられた国なんてひとつもない。」

 大巫女アーリアなる人物は、ものすごい影響力を持ってるようだ。
 王族だって、きっと好きな人くらいいると思うけど、アーリアの命が下ったら、何がなんでもそれに従わないといけないんだね。



 (なんだかちょっと可哀想…)



 王族なんて私には関係ないけど、少し同情してしまった。
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