上 下
14 / 258
見知らぬ場所で

しおりを挟む
「……どうかしたのか?」

 「す、すみません。
 私…体が痛くて起き上がれなくて…」

 「怪我でもしたのか?」

 「いえ……」

 「じゃあ、病気か?」

 「わかりません。」



 今のところ、悪い人には思えないけど、結論を出すにはまだ早そうだ。



 「どこに住んでる?ランダスの村か?」

 「ランダス…?」

まるで外国の地名みたいだ。



 「じゃあ、ブラッサか?」

 「いえ…ち、違います。」

おかしい。
 当然ながら、うちの近くにそんな地名はない。



 私も薄々感じてたんだ。
なにかがおかしいということに。
ここがうちの近くじゃないってこと、心の奥では感じてた。



 「じゃあ、どこから来たんだ?」

 「わ、私……そう!…記憶がないんです。」

 「えっ!?」



 本当のことを言っても良いのかどうかわからなくて、私は咄嗟に嘘を吐いた。
 信じてもらえるかどうかはわからなかったけど…



「頭を打つと、一時的に記憶を忘れることがあるって聞いたことがある。
それじゃあ、あんた…」

 「は、はい、頭を殴られたみたいです。
い、いたっ。」

 私は、頭をかばうように手をやった。



 「それは大変じゃないか。
とにかくうちに行こう。」

 「えっ?で、でも…」

 「靴も履いてないじゃないか。
さぁ、早く……」

そう言うと、男性はひょいと私を背中に乗せた。

 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます

結城芙由奈 
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】 ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

さようなら婚約者。お幸せに

四季
恋愛
絶世の美女とも言われるエリアナ・フェン・クロロヴィレには、ラスクという婚約者がいるのだが……。 ※2021.2.9 執筆

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

【完結】婚約者が好きなのです

maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。 でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。 冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。 彼の幼馴染だ。 そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。 私はどうすればいいのだろうか。 全34話(番外編含む) ※他サイトにも投稿しております ※1話〜4話までは文字数多めです 注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)

そう言うと思ってた

mios
恋愛
公爵令息のアランは馬鹿ではない。ちゃんとわかっていた。自分が夢中になっているアナスタシアが自分をそれほど好きでないことも、自分の婚約者であるカリナが自分を愛していることも。 ※いつものように視点がバラバラします。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

処理中です...