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side 香織

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(夏美さん…どうして……)



奥様が夏美さんを見間違えるはずはない。
外車に載ってた男性は、私が地下街で見かけた人ときっと同じ人だと思う。
会社帰りに会うならまだしも、家の近くまで来るなんてあまりにも酷い。
誰かに見られるって心配はないんだろうか?



だけど、堤さんの家で見た二人の様子はとても仲が良く、夏美さんが堤さんのことを大切に想われてるっていうことが言葉や態度の端々から現れていて……
それなのに、浮気するなんて、私にはいまだに信じられない想いだった。



多分……夏美さんのその気持ちは変わらないと思う。
変わらないからこそ、浮気は浮気と割り切れるのかもしれない。
だけど、堤さんは夏美さんみたいに強くない。
そんなことくらい、夏美さんにもわかってるはずなのにどうして……



とにかく、今、私に出来ることは、夏美さんのことが堤さんにバレないようにすること。
とはいえ、それだって私にはたいしたことは出来ない。
四六時中、堤さんにくっついてることなんて出来ないんだから……



(私って、なんて無力なんだろう……)



自分の非力さをまざまざと痛感し、気持ちは滅入ったけど……



そんなことは言ってられない。
私は自分の出来る範囲で堤さんを守ろうと、そう強く決意した。

 
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