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side 優一
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「えっ……
いただいて良いんですか?」
「はい。良かったらどうか使って下さい。」
「あ、ありがとうございます。」
おやつを食べたら、三人でスーパーに出かけることになり……
結局、花に取り掛かったのは、5時近くなってからだった。
しかも、篠宮さんは僕に花瓶を買って来てくれた。
落ち着いた雰囲気の陶器の花瓶だ。
うちにあるのはガラス製のものばかりだったから、それはとても新鮮な気がした。
「今日はこんなのを持って来ましたけど、次からは堤さんの好きな花にしましょう。」
篠宮さんが持って来ていたのは、彼女らしくない鮮やかな色合いの花たちだった。
ひまわりだけはわかったものの、あとの花は見たことはあっても名前は知らない。
「これはなんていう花ですか?」
「これがグロリオサ、こっちがトルコキキョウ、これがかすみ草です。
トルコキキョウは紫のが多いですが、今日はピンクにしてみました。」
「明るい雰囲気になりそうですね。」
僕がそう言うと、篠宮さんはにこっと笑い、さっき僕にくれた花瓶を指差した。
「早速、使っても良いですか?」
「ええ、どうぞ。」
僕は、花瓶を篠宮さんの前に差し出した。
「面白い形ですね。
これはユリの一種ですか?」
「そうです。ユリ科の植物で、別名をキツネユリっていいます。
この球根は毒が強いんですよ。
間違えて食べてしまったら、人間でも死ぬことがあるそうです。」
「そうなんですか。」
篠宮さんは、花についてとても詳しくいろんなことを話しながら、花瓶に挿していった。
「かすみ草は、ほとんどのお花に合います。
これがあるだけで、ほら全体に広がりが感じられて華やかになりますよね。」
「なるほど。」
「えっ……
いただいて良いんですか?」
「はい。良かったらどうか使って下さい。」
「あ、ありがとうございます。」
おやつを食べたら、三人でスーパーに出かけることになり……
結局、花に取り掛かったのは、5時近くなってからだった。
しかも、篠宮さんは僕に花瓶を買って来てくれた。
落ち着いた雰囲気の陶器の花瓶だ。
うちにあるのはガラス製のものばかりだったから、それはとても新鮮な気がした。
「今日はこんなのを持って来ましたけど、次からは堤さんの好きな花にしましょう。」
篠宮さんが持って来ていたのは、彼女らしくない鮮やかな色合いの花たちだった。
ひまわりだけはわかったものの、あとの花は見たことはあっても名前は知らない。
「これはなんていう花ですか?」
「これがグロリオサ、こっちがトルコキキョウ、これがかすみ草です。
トルコキキョウは紫のが多いですが、今日はピンクにしてみました。」
「明るい雰囲気になりそうですね。」
僕がそう言うと、篠宮さんはにこっと笑い、さっき僕にくれた花瓶を指差した。
「早速、使っても良いですか?」
「ええ、どうぞ。」
僕は、花瓶を篠宮さんの前に差し出した。
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「そうです。ユリ科の植物で、別名をキツネユリっていいます。
この球根は毒が強いんですよ。
間違えて食べてしまったら、人間でも死ぬことがあるそうです。」
「そうなんですか。」
篠宮さんは、花についてとても詳しくいろんなことを話しながら、花瓶に挿していった。
「かすみ草は、ほとんどのお花に合います。
これがあるだけで、ほら全体に広がりが感じられて華やかになりますよね。」
「なるほど。」
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