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013:女神の名前

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私達は、また今来た道を戻って行った。
やがて、ちょうど日が暮れて来た頃に、あの魔法使いの家の近くにさしかかった。



「このあたりで待ってみるか…」



私達は、魔法使いの家から少し離れた道端に腰を降ろし、夜が来るのを…
あの白い霧がたちこめてくるのを待った。



「俺達が戻ったら、あの人形は驚くだろうな。」

「そうだろうな。
まさか、また戻って来るなんて誰も考えないだろうな。」

「俺達みたいな几帳面は、そうめったといるもんじゃないよな。」

私達はそんな他愛ない話をしながら、霧が出て来るのを待っていた。



しかし、おかしなことにあの白い霧は一向に現れない。



「……おかしいな。
こんなに暗くなったっていうのに、今夜はどうなってるんだ?」

「本当だな…この前はこの時間にはもうとっくに出てたと思うのだが…
仕方がない。もう少し待ってみよう。」

それからも、私達はその場で霧を待ち続けたが、いつまで待っても霧の出る様子はなかった。



「絶対におかしいぜ。
もうこんなに暗くなったっていうのに…
今日は何か特別な日か、何かなんだろうか?」

「特別な日とは何だ?」

「何だって言われても困るけどさ…霧が出ないと決まってる日とか…
そうだ、婆さんがなにか知ってるかもしれないな。
聞いてみようぜ!」

私達は、魔法使いの老婆の家を訪ねることにした。



「誰だい、こんな遅くに…!」

扉を叩くと、中から老婆の不機嫌な声が聞こえて来た。



「なんだ、また、あんたらか!
こんな夜更けにどうしたんじゃ?」

「ちょっと婆さんに聞きたい事があってな。
それと、ついでになにか食べさせてくれないか?」

「なんじゃ、この前のトカゲのスープが気に入ったのか?」

「なんでも良いから、早く頼むよ。」

「ここは食堂じゃないぞ!」



セルジュは、相当腹がすいていたようだ。
老婆の冗談も気に留めていないようだった。
考えてみれば、今日は、朝食べてから何も食べていなかったのだ。
腹が減るのも当たり前だ。
老婆はぶつくさと文句を言いながらも、また昨夜のスープのようなものを食べさせてくれた。

 
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