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100%ジュース(みずがめ座)
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「そ…そっか…
そんなに強いんだ…」
僕の顔にひきつった微笑が浮かんだ。
小四の時の柔道の練習中に、先生を投げ飛ばした。
中二の時に、近所で空巣を捕まえた…
大会での優勝は数知れず…
彼女の武勇伝は、予想していた以上のものだった。
さらに、中三の時には、つきあってくれと迫って来たクラスメイトの腕を掴み、骨折させてしまったことがあるのだという。
「それを知ってるから、誰もうかつに手を出したりしないんだよ。
確かにあいつはさばさばして明るいし、面倒見も良い奴なんだけど…
やっぱり、骨折なんて聞いたらちょっと、な…」
譲はそういって苦笑した。
「で、でも、それは迫った方が悪いんじゃないか?」
「そうさ、あいつは正しく武道を学んでるし、わけもなく暴力をふるうような奴じゃない。
だけど、たとえばつきあうようになって、ちょっとした誤解とかでもめた時にでも、骨を折られるような目にあったらやっぱり怖いよな…」
山下の言葉に、皆、頷いた。
「そう……
あ、それで、100%ジュースっていうのは?」
「それはな…」
それは、これまた僕の予想を上回るすごい話だった。
昨年の文化祭で、園田を中心とした女子達はメイド喫茶を開いた。
その中でのイベントの一つとして、100%ジュースの実演というものがあったんだそうだ。
フレッシュジュースをオーダーされると、果物を持った園田が客の所に近付き、グラスの上で手に持った果物を握り潰してジュースにするというパフォーマンスだ。
オレンジ等のやわらかいものならともかく、固いりんごや洋ナシも簡単に握り潰す。
しかも、時には両手で二杯分同時にそれをやってしまうものだから、大盛りあがりの女子とは裏腹に、男子はどん引きしてしまったということらしい。
以来、彼女は「100%ジュース」と呼ばれるようになったのだとか…
「まさに100%だぜ。
もう一滴の果汁もないくらい、絞られてんだから。
あいつの握力はきっと俺よりずっと強いな…」
「そ…そうなんだ…」
つまり、僕が淡い恋心を抱いた園田はとんでもない怪力少女だということで…
「そ…そっか…
そんなに強いんだ…」
僕の顔にひきつった微笑が浮かんだ。
小四の時の柔道の練習中に、先生を投げ飛ばした。
中二の時に、近所で空巣を捕まえた…
大会での優勝は数知れず…
彼女の武勇伝は、予想していた以上のものだった。
さらに、中三の時には、つきあってくれと迫って来たクラスメイトの腕を掴み、骨折させてしまったことがあるのだという。
「それを知ってるから、誰もうかつに手を出したりしないんだよ。
確かにあいつはさばさばして明るいし、面倒見も良い奴なんだけど…
やっぱり、骨折なんて聞いたらちょっと、な…」
譲はそういって苦笑した。
「で、でも、それは迫った方が悪いんじゃないか?」
「そうさ、あいつは正しく武道を学んでるし、わけもなく暴力をふるうような奴じゃない。
だけど、たとえばつきあうようになって、ちょっとした誤解とかでもめた時にでも、骨を折られるような目にあったらやっぱり怖いよな…」
山下の言葉に、皆、頷いた。
「そう……
あ、それで、100%ジュースっていうのは?」
「それはな…」
それは、これまた僕の予想を上回るすごい話だった。
昨年の文化祭で、園田を中心とした女子達はメイド喫茶を開いた。
その中でのイベントの一つとして、100%ジュースの実演というものがあったんだそうだ。
フレッシュジュースをオーダーされると、果物を持った園田が客の所に近付き、グラスの上で手に持った果物を握り潰してジュースにするというパフォーマンスだ。
オレンジ等のやわらかいものならともかく、固いりんごや洋ナシも簡単に握り潰す。
しかも、時には両手で二杯分同時にそれをやってしまうものだから、大盛りあがりの女子とは裏腹に、男子はどん引きしてしまったということらしい。
以来、彼女は「100%ジュース」と呼ばれるようになったのだとか…
「まさに100%だぜ。
もう一滴の果汁もないくらい、絞られてんだから。
あいつの握力はきっと俺よりずっと強いな…」
「そ…そうなんだ…」
つまり、僕が淡い恋心を抱いた園田はとんでもない怪力少女だということで…
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