横顔の君

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
79 / 130
新たな恋

59

しおりを挟む




 (やった…渡せた……)



 自分の部屋に入ると、緊張が解け、足の力が一気に抜けた。



その時…スマホの着信音が鳴った。
 画面には隠岐照之の文字。
 再び、全身に緊張が走った。



 「は、はい、吉村です。」

 「あ…あの隠岐です。」

 「はい……」

 「そ、その……あれ…本気にして良いんですか?」

 「え?」

 「ですから…その……」

いつも冷静な隠岐さんが、珍しく焦っているのが感じられた。



 「は、はい。もちろんあれは本心です。」

 「ほ、本当に?」

 「本当です…わ、私……隠岐さんのことが好きです!」

 言ってしまった…
ついに、本心を伝えてしまった。



 「あ、ありがとう、吉村さん!
じゃあ、僕とお付き合いして下さいますか?」

 「はい!もちろんです!」

 「あ、ありがとう!!」



 事は予想以上にあっさりと運んだ。
 私は想いを伝えることが出来、そして、隠岐さんと付き合うことになった。
ついに、高い壁を乗り越えることが出来たんだ。



ほっとして…嬉しくて…
全身の力が抜けて、また涙がぽろぽろとこぼれてしまった。



 隠岐さんを初めて見て…
一目ぼれして…
それから、いろんな誤解を重ねながらも、ずっと隠岐さんのことを想って…



そして、その想いがようやく実を結んだ。



これ以上のことがあるだろうか?



 私の熱い涙は、なかなか止まることはなかった…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

【完結】夫もメイドも嘘ばかり

横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。 サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。 そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。 夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

あなたの婚約者を私にちょうだい?

ララ
恋愛
上級生の彼女は、嬉々とした表情で私に言う。 あなたの婚約者を私にちょうだい?

何もできない王妃と言うのなら、出て行くことにします

天宮有
恋愛
国王ドスラは、王妃の私エルノアの魔法により国が守られていると信じていなかった。 側妃の発言を聞き「何もできない王妃」と言い出すようになり、私は城の人達から蔑まれてしまう。 それなら国から出て行くことにして――その後ドスラは、後悔するようになっていた。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...