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電卓(うお座)

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(やっぱり無理だなぁ…)



電卓を叩きながら、俺は深い溜め息を漏らした。

ひかりは家計簿をつけていなかった。
少ないお金の中でやりくりするなら、まずは家計簿をつけてどういう風に遣われてるかを知ることだと言ったけど、ひかりはそういうことが苦手だと言ってなかなかちゃんとやってくれない。
だから、俺が代わりにつけることにした。
俺が食事を作るようになってから、食費は割りと押さえられてはきたものの、その代わり、俺が来たことで増えた出費もある。
だから、やっぱり金は残らない。



(どこか削れる所はないかなぁ…)



俺はもう一度家計簿を見直し、かたかたと電卓を叩く。
う~ん…なかなか難しい。

やっぱり収入を増やさないことには難しいかもしれない。
でも、俺は働けない…



俺はまたしても深い溜め息を吐いていた。



傍らに置いた家電店のチラシを手に取る。
最新のオーブンレンジ…昔に比べればこれだけ高機能でこの値段は安いと思うけど、今はとても手が届かない。



(これがあればスィーツも作れるのに…)

ここにあるのはごく簡単なレンジで、ただ温めることしか出来ない。
それに、調理器具も欲しい物がたくさんあるけど、それも揃えようと思ったらずいぶんかかる。



(仕方ない…小銭から地道に貯めて行こう。)

俺は、そう決心して家計簿をそっと閉じた。 
 
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