37 / 43
缶入り飲料(やぎ座)
2
しおりを挟む
(やった!剣さん、絶対信じると思ったんだ!)
「ふりふりふりふりふりふりふり!」
剣は、缶を振るリュウの様子を真剣にみつめる。
「う~!やっぱり、うめぇ!」
「おい、おまえ、なんで7回数しか振らないんだ?
運命の恋人には会いたくないのか?」
「そりゃあ、会いたいですよ。
でも、俺、根性ないし…しかも、馬鹿だから、途中で数えるのがわかんなくなりそうだし…
10万回も振れる奴は、まずいないと思いますよ。
だからこそ、それを成し遂げた者には神様がご褒美をくれるんだ…」
「なるほど…!」
リュウは、噴き出しそうになるのをぐっと堪え、素知らぬ顔を決めこんだ。
「リュウ…俺、寝るわ。」
「え…もうですか?」
「なんだか急に眠くなって…すまないな。」
「そうですか…じゃ、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
剣が部屋に入ったのを見届けると、リュウは腹を抱え、声を押し殺して笑い転げた。
そして、足音をしのばせリュウの部屋の前に行き、扉に耳をくっつける。
「ふりふりふりふり…」
部屋の中から漏れ聞こえる剣の声に、リュウは口元を押さえ、自分の部屋に駆け込み、ベッドの上で笑い転げた。
(あぁぁ…剣さんって本当に可愛い…!)
笑っていううちに、リュウの瞼は重くなり、いつしか夢の世界へ旅立っていた。
*
(……ん?)
リュウがふと目を覚ますと、窓の外はもう明るくなっていた。
(あ、朝飯の用意しなきゃ…)
時計を見て、瞼をこすりながら立ちあがったリュウは、不意に昨夜のことを思い出した。
(そういえば…まさか、剣さん…)
剣の部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。
「剣さん、入りますよ!
あ……」
剣はソファにもたれかかったまま眠っていた。
片手にはふりふりぷりんの缶をしっかりと握り締めて…
「け…剣さん!」
「あ、リュウ…
あ…あ…俺、何回振ったんだっけ?」
まっすぐな剣の視線に、リュウはあれは嘘だとは言い出せず、心の中で剣に両手を合わせるのだった。
「ふりふりふりふりふりふりふり!」
剣は、缶を振るリュウの様子を真剣にみつめる。
「う~!やっぱり、うめぇ!」
「おい、おまえ、なんで7回数しか振らないんだ?
運命の恋人には会いたくないのか?」
「そりゃあ、会いたいですよ。
でも、俺、根性ないし…しかも、馬鹿だから、途中で数えるのがわかんなくなりそうだし…
10万回も振れる奴は、まずいないと思いますよ。
だからこそ、それを成し遂げた者には神様がご褒美をくれるんだ…」
「なるほど…!」
リュウは、噴き出しそうになるのをぐっと堪え、素知らぬ顔を決めこんだ。
「リュウ…俺、寝るわ。」
「え…もうですか?」
「なんだか急に眠くなって…すまないな。」
「そうですか…じゃ、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
剣が部屋に入ったのを見届けると、リュウは腹を抱え、声を押し殺して笑い転げた。
そして、足音をしのばせリュウの部屋の前に行き、扉に耳をくっつける。
「ふりふりふりふり…」
部屋の中から漏れ聞こえる剣の声に、リュウは口元を押さえ、自分の部屋に駆け込み、ベッドの上で笑い転げた。
(あぁぁ…剣さんって本当に可愛い…!)
笑っていううちに、リュウの瞼は重くなり、いつしか夢の世界へ旅立っていた。
*
(……ん?)
リュウがふと目を覚ますと、窓の外はもう明るくなっていた。
(あ、朝飯の用意しなきゃ…)
時計を見て、瞼をこすりながら立ちあがったリュウは、不意に昨夜のことを思い出した。
(そういえば…まさか、剣さん…)
剣の部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。
「剣さん、入りますよ!
あ……」
剣はソファにもたれかかったまま眠っていた。
片手にはふりふりぷりんの缶をしっかりと握り締めて…
「け…剣さん!」
「あ、リュウ…
あ…あ…俺、何回振ったんだっけ?」
まっすぐな剣の視線に、リュウはあれは嘘だとは言い出せず、心の中で剣に両手を合わせるのだった。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる