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缶入り飲料(やぎ座)
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(やった!剣さん、絶対信じると思ったんだ!)
「ふりふりふりふりふりふりふり!」
剣は、缶を振るリュウの様子を真剣にみつめる。
「う~!やっぱり、うめぇ!」
「おい、おまえ、なんで7回数しか振らないんだ?
運命の恋人には会いたくないのか?」
「そりゃあ、会いたいですよ。
でも、俺、根性ないし…しかも、馬鹿だから、途中で数えるのがわかんなくなりそうだし…
10万回も振れる奴は、まずいないと思いますよ。
だからこそ、それを成し遂げた者には神様がご褒美をくれるんだ…」
「なるほど…!」
リュウは、噴き出しそうになるのをぐっと堪え、素知らぬ顔を決めこんだ。
「リュウ…俺、寝るわ。」
「え…もうですか?」
「なんだか急に眠くなって…すまないな。」
「そうですか…じゃ、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
剣が部屋に入ったのを見届けると、リュウは腹を抱え、声を押し殺して笑い転げた。
そして、足音をしのばせリュウの部屋の前に行き、扉に耳をくっつける。
「ふりふりふりふり…」
部屋の中から漏れ聞こえる剣の声に、リュウは口元を押さえ、自分の部屋に駆け込み、ベッドの上で笑い転げた。
(あぁぁ…剣さんって本当に可愛い…!)
笑っていううちに、リュウの瞼は重くなり、いつしか夢の世界へ旅立っていた。
*
(……ん?)
リュウがふと目を覚ますと、窓の外はもう明るくなっていた。
(あ、朝飯の用意しなきゃ…)
時計を見て、瞼をこすりながら立ちあがったリュウは、不意に昨夜のことを思い出した。
(そういえば…まさか、剣さん…)
剣の部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。
「剣さん、入りますよ!
あ……」
剣はソファにもたれかかったまま眠っていた。
片手にはふりふりぷりんの缶をしっかりと握り締めて…
「け…剣さん!」
「あ、リュウ…
あ…あ…俺、何回振ったんだっけ?」
まっすぐな剣の視線に、リュウはあれは嘘だとは言い出せず、心の中で剣に両手を合わせるのだった。
「ふりふりふりふりふりふりふり!」
剣は、缶を振るリュウの様子を真剣にみつめる。
「う~!やっぱり、うめぇ!」
「おい、おまえ、なんで7回数しか振らないんだ?
運命の恋人には会いたくないのか?」
「そりゃあ、会いたいですよ。
でも、俺、根性ないし…しかも、馬鹿だから、途中で数えるのがわかんなくなりそうだし…
10万回も振れる奴は、まずいないと思いますよ。
だからこそ、それを成し遂げた者には神様がご褒美をくれるんだ…」
「なるほど…!」
リュウは、噴き出しそうになるのをぐっと堪え、素知らぬ顔を決めこんだ。
「リュウ…俺、寝るわ。」
「え…もうですか?」
「なんだか急に眠くなって…すまないな。」
「そうですか…じゃ、おやすみなさい。」
「おやすみ。」
剣が部屋に入ったのを見届けると、リュウは腹を抱え、声を押し殺して笑い転げた。
そして、足音をしのばせリュウの部屋の前に行き、扉に耳をくっつける。
「ふりふりふりふり…」
部屋の中から漏れ聞こえる剣の声に、リュウは口元を押さえ、自分の部屋に駆け込み、ベッドの上で笑い転げた。
(あぁぁ…剣さんって本当に可愛い…!)
笑っていううちに、リュウの瞼は重くなり、いつしか夢の世界へ旅立っていた。
*
(……ん?)
リュウがふと目を覚ますと、窓の外はもう明るくなっていた。
(あ、朝飯の用意しなきゃ…)
時計を見て、瞼をこすりながら立ちあがったリュウは、不意に昨夜のことを思い出した。
(そういえば…まさか、剣さん…)
剣の部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。
「剣さん、入りますよ!
あ……」
剣はソファにもたれかかったまま眠っていた。
片手にはふりふりぷりんの缶をしっかりと握り締めて…
「け…剣さん!」
「あ、リュウ…
あ…あ…俺、何回振ったんだっけ?」
まっすぐな剣の視線に、リュウはあれは嘘だとは言い出せず、心の中で剣に両手を合わせるのだった。
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