ラッキーアイテムお題短編集6

ルカ(聖夜月ルカ)

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缶入り飲料(やぎ座)

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(やった!剣さん、絶対信じると思ったんだ!)



「ふりふりふりふりふりふりふり!」

剣は、缶を振るリュウの様子を真剣にみつめる。



「う~!やっぱり、うめぇ!」

「おい、おまえ、なんで7回数しか振らないんだ?
運命の恋人には会いたくないのか?」

「そりゃあ、会いたいですよ。
でも、俺、根性ないし…しかも、馬鹿だから、途中で数えるのがわかんなくなりそうだし…
10万回も振れる奴は、まずいないと思いますよ。
だからこそ、それを成し遂げた者には神様がご褒美をくれるんだ…」

「なるほど…!」

リュウは、噴き出しそうになるのをぐっと堪え、素知らぬ顔を決めこんだ。



「リュウ…俺、寝るわ。」

「え…もうですか?」

「なんだか急に眠くなって…すまないな。」

「そうですか…じゃ、おやすみなさい。」

「おやすみ。」



剣が部屋に入ったのを見届けると、リュウは腹を抱え、声を押し殺して笑い転げた。
そして、足音をしのばせリュウの部屋の前に行き、扉に耳をくっつける。



「ふりふりふりふり…」

部屋の中から漏れ聞こえる剣の声に、リュウは口元を押さえ、自分の部屋に駆け込み、ベッドの上で笑い転げた。



(あぁぁ…剣さんって本当に可愛い…!)

笑っていううちに、リュウの瞼は重くなり、いつしか夢の世界へ旅立っていた。







(……ん?)

リュウがふと目を覚ますと、窓の外はもう明るくなっていた。




(あ、朝飯の用意しなきゃ…)

時計を見て、瞼をこすりながら立ちあがったリュウは、不意に昨夜のことを思い出した。



(そういえば…まさか、剣さん…)



剣の部屋の扉をノックしたが、返事はなかった。



「剣さん、入りますよ!
あ……」



剣はソファにもたれかかったまま眠っていた。
片手にはふりふりぷりんの缶をしっかりと握り締めて…



「け…剣さん!」

「あ、リュウ…
あ…あ…俺、何回振ったんだっけ?」

まっすぐな剣の視線に、リュウはあれは嘘だとは言い出せず、心の中で剣に両手を合わせるのだった。 
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