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携帯用ゲーム機(しし座)

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「剣さん、おはようございます。」

剣が店に入ると、男達は一斉に剣に向かって頭を下げた。



「おはよう。
今日も頑張って行こうな。
あ…ミキオ、ちょっと…」

「は、はいっ!」

剣に呼ばれた意味がわからず、ミキオは不安を感じながら、店の奥へと着いて行った。



ソファにゆったりと腰掛けた剣が、バッグの中から何かを取り出し、ミキオの前に差し出した。



「ミキオ、おまえ、ゲーム好きだっただろ?
これやるよ。」

差し出されたのは、一枚のソフトとPSP。



「あ、剣さん、僕、PSPは持ってます。
でも、このソフトはまだもってないです。
あれ…剣さん、恋愛シミュレーションなんてやるんですか!?」

「あぁ、オリンポスのヒロヤがえらくハマっててさ。
なかなかクリア出来ないって言ってたから、やってみたら、本当に難しくてさ。
特に、この中の光子っていうオタク少女が、なかなか落ちないんだよなぁ…
いくらゲームとはいえ、落とせない女がいるなんて悔しくってな。
俺もいつの間にか意地になってたんだけど、昨夜、やっと落ちたんだ…
この数日間、どれだけ俺が悩んだことか…ヒロヤの気持ちがよ~くわかったよ。
当分、ゲームはやりたくないな。」

「そうだったんですか…」


(あ…!ってことは、最近の剣さんの異変は、このゲームのせいだったってことなのか!?)



その時、剣の控え室をノックする音が聞こえ、男達がどやどやと入って来た。



「なんだ?
おまえ達、どうかしたのか?」

「剣さん!俺達に、剣さんの恋の手伝いをさせて下さい!」

「は?」

「俺達に、キューピッドの役をさせて下さい!」

「お願いします!」



剣に向かって頭を下げる男達に、剣は目を丸くして戸惑う。



「おい、どういうことなんだ?
おまえ達、なにがやりたいって?」

「剣さん、隠さないで下さいよ。
俺達…何もかもわかってるんですから…!」

真剣に訴えるリュウを見て、ミキオは剣に気付かれないように必死で手と頭を振った。



「は?」

それでも、リュウにはミキオのジェスチャーの意味が伝わらなかった。



「おい、誰かちゃんと説明しろ。」



しばらくして、部屋の中には男達の明るい笑い声がこだました。 
 
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