12 / 43
ポイントカード(おうし座)
9
しおりを挟む
*
(馬鹿な……)
僕は一度行った場所はまず間違えることはない。
路地に入って曲がり角を曲がった先にあの店はあった。
なのに、そこには店などなく、雑草の生い茂る空き地だったのだ。
真実を確かめる術はなくなった。
僕はとぼとぼと歩いて来た道を引き返し、家に戻った。
どう考えてもわからない。
あの体験がなんだったのか…
(そうだ!)
僕は、実家に電話をかけた。
「あら、どうしたの?
あんたが電話をかけてくるなんて珍しいじゃない。」
「あ…あの…
父さんの三回忌のことなんだけど…」
「そんなことを気にしてくれたの?
まだ先じゃないか。
でも、嬉しいよ……」
「母さん…父さんが亡くなったあの日のこと…覚えてる?」
「なんでそんな時のこと…」
「良いから、答えてよ!」
「あぁ…あんたが来るのを待ってたみたいに、何度もありがとう、ありがとうって言って…
来られないって言ってたあんたが急に現れたから、私達もびっくりしたけど嬉しかったよ。」
「……そう…」
事実は塗りかえられていた。
あの日、接待ゴルフに行ってた筈の僕は、父さんの元へ駆け付けていた。
(僕の一番行きたい場所への旅行券…
そうか…僕が一番行きたかった場所はあそこだったんだ…)
(馬鹿な……)
僕は一度行った場所はまず間違えることはない。
路地に入って曲がり角を曲がった先にあの店はあった。
なのに、そこには店などなく、雑草の生い茂る空き地だったのだ。
真実を確かめる術はなくなった。
僕はとぼとぼと歩いて来た道を引き返し、家に戻った。
どう考えてもわからない。
あの体験がなんだったのか…
(そうだ!)
僕は、実家に電話をかけた。
「あら、どうしたの?
あんたが電話をかけてくるなんて珍しいじゃない。」
「あ…あの…
父さんの三回忌のことなんだけど…」
「そんなことを気にしてくれたの?
まだ先じゃないか。
でも、嬉しいよ……」
「母さん…父さんが亡くなったあの日のこと…覚えてる?」
「なんでそんな時のこと…」
「良いから、答えてよ!」
「あぁ…あんたが来るのを待ってたみたいに、何度もありがとう、ありがとうって言って…
来られないって言ってたあんたが急に現れたから、私達もびっくりしたけど嬉しかったよ。」
「……そう…」
事実は塗りかえられていた。
あの日、接待ゴルフに行ってた筈の僕は、父さんの元へ駆け付けていた。
(僕の一番行きたい場所への旅行券…
そうか…僕が一番行きたかった場所はあそこだったんだ…)
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる