ラッキーアイテムお題短編集6

ルカ(聖夜月ルカ)

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ポイントカード(おうし座)

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(なんだ、これ?)

ある時、僕は、財布の中に見なれないポイントカードがあることに気が付いた。
店名は「キリーの店」
カードには赤いスタンプがいっぱいになっており、「お好きな賞品とお引き換え下さい」と書かれていた。
しかし、どう考えても僕はそんな店に覚えはない。
そもそも、ポイントカードなんてものは主婦や学生が貯めるものだというイメージがあり、男がそういうものをちまちま貯めるのは、あまり格好の良いものだとは思えなかったから、カードを作ることを勧められても、ほとんどの場合は断っている。
それなのに、なぜ、このカードはポイントがいっぱいになっているんだ?
もらえるという賞品には全く興味はなかったが、そのことが気にかかり、僕は「キリーの店」を訪ねることにした。



書かれていた住所は会社からほど近い場所だった。
この近くには何度も来たことがある。
やはり、僕はこの店に立ち寄ったことがあったのだろうか?
まるで、狐につままれたような気分を味わいながら、僕は住所を頼りにその店に向かった。
路地に入り、曲がり角を曲がった途端、なにやら急にあたりの雰囲気が変わった。
なんというのか……一昔、戻ったようなどこか懐かしい雰囲気の通りの一角に、その店は佇んでいた。



やはり、まるで記憶がない。
この店でなにかを買った記憶はおろか、この店に立ち寄った記憶さえない。
どういったものを売る店なのかもよくわからないまま、僕は店の扉を押し開けた。



カランカラン



派手なドアベルが鳴り響き、僕が店の中を見る暇もないうちに、奥から背の高い痩せた男が現れ、にこやかに微笑みながら僕を出迎えた。



「いらっしゃいませ。
ポイントの交換ですね?」

「いえ、そうではなくて、僕は…」

「おっ、ポイントカードをお持ちですね。
拝見致します。」

男は、僕の言葉に耳を貸す事もなく、僕が手に持っていたポイントカードを目ざとく見付け、そう言った。
多少の気分の悪さを感じながらも、僕はポイントカードを差し出した。



「おぉ~っ!いっぱいになってますね。
では、こちらの棚の中からお好きなものを、お一つ、お選び下さい。」

「僕は、この店で買い物をしたこともなければここへ来た事もない。
なのに…」

「お客様、商品をお買い上げいただくことがポイントのたまる条件とは限りません。
あ、そうだ!
お客様にはこちらなんかいかがですか?」

男は僕の言葉を遮り、カウンターから出て来ると、ショーケースの中を指差した。 
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