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ハンドタオル(おひつじ座)

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「あそこで少し休むか…」

「そうだな…」



ジャックとフレイザーは、木陰の少し開けた場所に腰を降ろした。



「風はこんなに清々しいのに、歩くとけっこう暑く感じるもんだな。」

そう言いながら、フレイザーは水筒の水に口を付けた。



「ちょっと無理し過ぎだよ。」

「そんなこと言ったって、俺達、あいつらからうんと遅れてるんだからさ。
少しは急がないとな。」

「でも、君は病み上がりなんだし…」

「別に病気じゃないんだ。
俺は若いし、もう大丈夫だって。」

「……無理するなよ。」

「……ったく、おまえは心配性だな。
さて、と、
じゃあ、あと一頑張りするか。
暗くなる前に町に着かなきゃな。」

フレイザーは立ち上がり、無造作に服の土を払う。



「あ、フレイザー、ちょっと…」

「なんだ…?」

ジャックは、フレイザーの額に浮かんだ汗を、そっと押さえた。
ジャックの手には、桜色の小さなタオル。
隅っこに小さな花の刺繍が施された可愛らしいものだ。



「あれ?
なんだ、おまえ…女の子みたいなもん持ってるんだな。」

フレイザーは、目ざとくそのタオルの様子に気付いた。



「こ…これは、セリナがくれたんだ。
どっかの町で買ったんだってさ。」

ジャックは慌ててタオルをポケットの奥に仕舞った。



「へぇ…でも、なんでこんな…」

「お、女の子は可愛いもんが好きなんだよ。
だから、俺にも自分が気に入ったもんをくれたんだろ。
そんなことどうでも良いじゃないか。
さぁ、早く行こうぜ!」

「ちょっと待てよ…
どうしたんだ、急に…
おい、ジャック!待てってば!」

フレイザーの方を振り向きもせずに足早に歩き出したジャックの後を、フレイザーは小走りで追いかけた。
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