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「小学生の頃のうちの運転手さんに女の子がいたんだ。
確か僕より二つ年下だったと思う。
小学校に入ったばかりだった。
どういういきさつだったかは忘れてしまったけど、僕はその子と知り合い、すぐに仲良くなったんだ。
クミちゃんって言ってね。
とっても可愛い子で、僕は妹みたいに思ってた。
クミちゃんも僕のことをお兄ちゃんって呼んでくれてたよ。
彼女の家に遊びに行くのもすごく楽しかったんだ。
家はとても狭いアパートだったけど、お母さんは優しいし、良くお菓子を作ってくれたんだ。
食パンの耳を上げて砂糖をたっぷりまぶしてくれるのが大好きだったよ。」
思い出話を話す樹生さんは、本当に幸せそうな顔をしてた。
「でも…ある日突然、クミちゃんはいなくなった。
アパートは引っ越されて、運転手さんも違う人に変わってた。
なにがあったのか、幼かった僕にはわからなかったけど、あの時は本当に悲しかったよ。」
樹生さんは、悲しそうな顔でそう言った。
「それからクミさんとは連絡は取れなかったんですか?」
「うん、当時僕は、確か小3だったと思うんだ。
だから、探しようもなくてね。
なんせ、クミちゃんの苗字さえ覚えてないんだよ。
馬鹿だよね…」
「そうだったんですか……」
「それでね…不思議なんだけど、君を見た時…
すごく久しぶりにクミちゃんを思い出したんだ。」
樹生さんはどこか照れ臭そうにそう言って微笑んだ。
確か僕より二つ年下だったと思う。
小学校に入ったばかりだった。
どういういきさつだったかは忘れてしまったけど、僕はその子と知り合い、すぐに仲良くなったんだ。
クミちゃんって言ってね。
とっても可愛い子で、僕は妹みたいに思ってた。
クミちゃんも僕のことをお兄ちゃんって呼んでくれてたよ。
彼女の家に遊びに行くのもすごく楽しかったんだ。
家はとても狭いアパートだったけど、お母さんは優しいし、良くお菓子を作ってくれたんだ。
食パンの耳を上げて砂糖をたっぷりまぶしてくれるのが大好きだったよ。」
思い出話を話す樹生さんは、本当に幸せそうな顔をしてた。
「でも…ある日突然、クミちゃんはいなくなった。
アパートは引っ越されて、運転手さんも違う人に変わってた。
なにがあったのか、幼かった僕にはわからなかったけど、あの時は本当に悲しかったよ。」
樹生さんは、悲しそうな顔でそう言った。
「それからクミさんとは連絡は取れなかったんですか?」
「うん、当時僕は、確か小3だったと思うんだ。
だから、探しようもなくてね。
なんせ、クミちゃんの苗字さえ覚えてないんだよ。
馬鹿だよね…」
「そうだったんですか……」
「それでね…不思議なんだけど、君を見た時…
すごく久しぶりにクミちゃんを思い出したんだ。」
樹生さんはどこか照れ臭そうにそう言って微笑んだ。
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