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「大丈夫か!?」
え…?
恐る恐る目を開くと、そこにいたのは樹生さんだった。
「どうした!?何があった?」
「た、樹生さん…」
ほっとしたら、また涙が込み上げて、私は樹生さんの胸にすがって泣いた。
樹生さんは何も言わず、ただ、私を優しく抱いていてくれた。
*
「落ち着いた?」
「……はい。」
ひとしきり泣いて、ようやく私の涙は止まった。
「川北さんが電話をくれたから、慌てて帰ってきたんだ。
一体、何があったの?」
「はい、それが…」
話そうとすると、二階堂さんのことが思い出されてまた涙が込み上げる。
樹生さんは、私の涙を指で拭ってくれた。
「ゆっくりでいいからね。
それはどうしたの?」
樹生さんは、私の肩のシミを指さした。
「こ、これは…」
答えようとしたら、また涙が込み上げてきた。
「晩ご飯は食べた?」
「い、いえ、まだです。」
「じゃあ、まずはごはんを食べよう。川北さんが作ってくれてるから。さ。」
樹生さんに手を引かれ、私はリビングに向かった。
「すぐに用意するからね。」
「それなら私が…」
「いいから、いいから。」
肩を押さえて、立とうとした私を樹生さんは無理に座らせた。
今日の樹生さん、なんだかすごく優しい。
私はこの際、樹生さんに甘えることにした。
え…?
恐る恐る目を開くと、そこにいたのは樹生さんだった。
「どうした!?何があった?」
「た、樹生さん…」
ほっとしたら、また涙が込み上げて、私は樹生さんの胸にすがって泣いた。
樹生さんは何も言わず、ただ、私を優しく抱いていてくれた。
*
「落ち着いた?」
「……はい。」
ひとしきり泣いて、ようやく私の涙は止まった。
「川北さんが電話をくれたから、慌てて帰ってきたんだ。
一体、何があったの?」
「はい、それが…」
話そうとすると、二階堂さんのことが思い出されてまた涙が込み上げる。
樹生さんは、私の涙を指で拭ってくれた。
「ゆっくりでいいからね。
それはどうしたの?」
樹生さんは、私の肩のシミを指さした。
「こ、これは…」
答えようとしたら、また涙が込み上げてきた。
「晩ご飯は食べた?」
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「じゃあ、まずはごはんを食べよう。川北さんが作ってくれてるから。さ。」
樹生さんに手を引かれ、私はリビングに向かった。
「すぐに用意するからね。」
「それなら私が…」
「いいから、いいから。」
肩を押さえて、立とうとした私を樹生さんは無理に座らせた。
今日の樹生さん、なんだかすごく優しい。
私はこの際、樹生さんに甘えることにした。
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