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「本当にこんな店で良いの?」
「良いんだってば。
私、ここのこと気に入ってるし。」
「でも、もうあなたは今までの田中さんじゃない。
社長夫人なんだよ。」
「そんなこと、気にしないで。
私はこれからだって今までに通り働くし、お昼は相田さんと一緒にここに来る。」
相田さんはちょっと困ったような顔をしながら、小さく頷いた。
「ねぇ、新婚旅行はどうだった?」
「うん、楽しかったよ。
お土産買って来たから、帰りに渡すね。」
「えー、そうなんだ。
ありがとう。」
相田さんの言う通り、今の私は社長夫人だ。
だけど、今のところ、何も変わってはいない。
いつもの時間に出社して、お昼には相田さんと一緒に三駅先のカフェでリーズナブルなお昼ごはん。
ただ、昨夜はやっぱりちょっと落ち着かなかった。
だって、新婚旅行から帰って来たのは、樹生さんのマンションだったから。
何度か来たことはあったけど、泊まったのは初めてだった。
広さ的には、私の家の倍くらいあるし、なにより樹生さんと同室だもの。
樹生さんはやることがあるからって書斎にこもって明け方まで部屋に戻って来なかったけど、それでもやっぱり落ち着かなかったよ。
だから、今日はなんだか眠い…
「本当にこんな店で良いの?」
「良いんだってば。
私、ここのこと気に入ってるし。」
「でも、もうあなたは今までの田中さんじゃない。
社長夫人なんだよ。」
「そんなこと、気にしないで。
私はこれからだって今までに通り働くし、お昼は相田さんと一緒にここに来る。」
相田さんはちょっと困ったような顔をしながら、小さく頷いた。
「ねぇ、新婚旅行はどうだった?」
「うん、楽しかったよ。
お土産買って来たから、帰りに渡すね。」
「えー、そうなんだ。
ありがとう。」
相田さんの言う通り、今の私は社長夫人だ。
だけど、今のところ、何も変わってはいない。
いつもの時間に出社して、お昼には相田さんと一緒に三駅先のカフェでリーズナブルなお昼ごはん。
ただ、昨夜はやっぱりちょっと落ち着かなかった。
だって、新婚旅行から帰って来たのは、樹生さんのマンションだったから。
何度か来たことはあったけど、泊まったのは初めてだった。
広さ的には、私の家の倍くらいあるし、なにより樹生さんと同室だもの。
樹生さんはやることがあるからって書斎にこもって明け方まで部屋に戻って来なかったけど、それでもやっぱり落ち着かなかったよ。
だから、今日はなんだか眠い…
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