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私はふと思った。
こんな小市民の私とあの東條さんが釣り合うはずがない。



(そうだよね…そんなこと、わかってたはずなのに、私はなぜ…)



「……これからは、こんな美味しいお菓子もしょっちゅう食べられるかもしれないな。」



(……え?)



「奈美…本当に良かったわね。
あなたは、麻美みたいな苦労をしなくて済みそうね。」

お父さんとお母さんが、しみじみとそう言って、私の顔をじっとみつめた。



そうか…
私が東條さんと結婚したら、お父さん達はきっと喜ぶよね。
つまりは、親孝行が出来るんだ。
それに、東條さんに頼んだら、お姉ちゃん達の援助もしてくれるかもしれない。



それに……
私ももしかしたら、内心では結婚したいと思ってたのかもしれない。
結婚すれば、私はセレブになれるんだから。



なんでも人並みのくせに、私はずっと、ベリーヒルズで働くことに憧れてた。
私がベリーヒルズなんて、分不相応なことなのに。
もしかして、私の心の奥底には、最初から野心みたいなものがあったんだろうか?



そう思うと、自分自身がなんだか怖い。
やっぱり、結婚なんてしちゃいけないような気がしてくる。



(そうだよ。
私はなんでも人並みの奈美なんだから…)
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