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 「昨夜はすみませんでした。
ひさしぶりに働いたせいか、緊張して気疲れしたせいか、知らないうちに寝てしまって…」

 私は、何食わぬ顔でそんな嘘を吐いた。



 「ううん、そんなこと、気にしなくて良いよ。」

 「昨夜は遅かったんですか?」

 「うん…ちょっと飲んでたから、11時半くらいだったかなぁ…」



 私と違って、柊司さんは嘘を吐いてない。
 私はその時間起きていて、部屋で寝たふりをしてたから、何時に帰って来たのかは知っている。



 「そうなんですね。
 眠くないですか?」

 「うん、大丈夫だよ。」

 柊司さんはいつもと変わらない様子で答えた。
なんだかそれが癪に障る。
これって、逆恨みってやつなのかな?



 「あ、柊司さん、私、お昼は山下さんと一緒に食べたいと思ってるんですけど…」

 「そうなんだ、どうして?」

 「山下さんにはいろいろ教えてもらいましたし、今日はランチをご馳走しようかと。」

 「あぁ、それは良いかもしれないね。」

 「はい。」

 私は、愛想笑いを浮かべた。



 今日は休もうかとも思ったけれど、働かせて欲しいって言っていながら二日目にして休むのもなんだし、落ち込んで休むのはなんだかもっと悔しいし。
だから、何ともない顔をして出社することにした。
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