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「……そうなんだ
 じゃあ、断るつもり?」

 「いえ、断りません!」

 「どうして?君はお金には興味がないんでしょう?」

 嫌味な言い方に、またイラッと来て…



「あなたの顔が好きだから…だから、お受けします!」

 「えっ!?」



 柊司さんは、目を丸くして私をみつめた。
きゃーーー…視線が合っただけで、なんだか幸せ…って、今、確か、怒ってたよね、私。



 「……マジ?」

 「え?……は、はい、マジです。」

 「僕の顔が好きだから、結婚するっていうの?
それだけで?」

 「はい。」

 半ば、開き直って、私は短くそう答えた。



 「……聞いてるよね?僕の噂…」

 「え?あ、あぁ、まぁ…」

 「それでも良いの?
 言ってみれば、同居人みたいな関係だよ。
それでも良いの?」

 「構いません。
 私、あなたの顔が大好きですから、それだけで良いんです。
あ…でも、もしもDVとかあるのなら、それは話が別ですが…」

 柊司さんの顔が急に綻んだ。
な、なんて、可愛い笑顔…!



 「そういうことはないから、心配はいらないよ。
 自分で言うのもなんだけど…僕は同居人としては悪くないと思うよ。
 至って穏やかな性格だし、君のすることに何か文句を言うつもりもない。」

 「そ、そうなんですか。」

 「ただ……君のことを奥さんとして愛することは出来ない。」

そっか。
ちょっとぐさっとは来たけれど、でも、こんな風にはっきり言われたら、逆に清々しいってもんだね。
それにそのことは、お父さんから聞いてたし。

 
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