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014:懐かしの家路

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「フォルテュナ、今日はありがとうな。」

月明かりの道をフォルテュナとセスは並んで歩く…



「僕の方こそありがとう。」

「……それにしても、あんたは本当に何もやったことがないんだな。」

そう言いながら、セスは肩をすくめて笑った。



「それは……」

フォルテュナの言葉はそこで途切れ、彼の肩が小さく揺れた。



「……確かに君の言う通りだね。
小さな子供達に、座って待っとくように言われたんじゃ僕もおしまいだね。」



セスとフォルテュナは、あれから子供達の暮らす家を訪れた。
それは、家と言えた代物ではない…ただの掘っ建て小屋だった。
狭いその小屋にいたのは、老婆と中年の女性、そして小さな子供達だった。

二人は、熱い歓迎ともてなしを受けた。
幾ばくかの野菜が寂しげに浮かんだスープと木の実のようなものがテーブルに並ぶ。
だが、それが、彼らにとってはとても貴重なものだとセスにはわかっていた。
二人は自分達の持っていた食糧をテーブルに並べた。
それと同時に子供達の間からは歓声があがり、女性達は恐縮した表情で口々に礼を述べた。
目を輝かせる子供達の前で昨夜と同じ洞窟の話を聞かせ、子供達の瞼が重くなった時に二人は小屋を後にした。



「セス…あの子達は…」

尋ねて良いものかどうかと躊躇いがちにフォルテュナが口を開いた。



「フォルテュナ…あそこに山があるのが見えるだろ?」

セスが小高い山を指差した。



「あぁ…」

「昨年、ものすごい暴風雨があって…
あの山の麓は土砂に埋まったんだ…」

「えっ!?それじゃあ、もしかしたらあの子達は…」

セスは、フォルテュナの方に顔を向けることなく頷いた。



「黒髪の一番大きな男の子がいただろう?
あいつが、町まで助けを呼びに来たんだ。
すぐに町から数人の男達が駆け付けたんだが……手の付けようがなかった……
今でもあいつの両親は見つかっていないんだ。」

悔しそうに話すセスの拳に力がこもる。



「……そうだったの…」

「フォルテュナ……
実は、俺…逃げ出したんだ。」

「逃げた…?
どういうこと?」

 
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