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014:懐かしの家路

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「ところでフォルテュナ、これからどうする?
しばらくはうちにいるんだろ?」

「えっ?
……いても良いの?」

「あぁ、もちろん構わないさ。
だけど、くれぐれも期待すんなよ。
とにかくボロい家だからな。」

「そんなこと気にしないよ。」

元々家というものを持たないフォルテュナには、セスの言うボロい家がどんなものかはっきりとはわからなかったが、人間の家に住まい、やがては仕事でもみつけて暮らしていくのかと考えると、フォルテュナの口角があがった。

「フォルテュナ様」と崇められ、ちやほやと機嫌を取られていた自分が、人間と同様の暮らしをする…
それは、夢にも想像しなかったこと…
だが、フォルテュナがそれよりも奇妙に感じたのは、そんな暮らしをすることに少しも嫌悪感を感じない自分自身の気持ちだった。



(本当に不思議だ…僕はこんなにものわかりの良い性格じゃなかったはずなのに…)



「セスーーー!」



その時、丘の上でセスの姿を発見したらしい子供が、大きく手を振るのがフォルテュナの目に映った。
嬉しそうな顔をして、子供達はフォルテュナ達の元へ駆け出した。
セスは、微笑みながら子供達に手を振り返す。



「おかえり!セス!」

「早かったじゃない!」

目を輝かせながらセスに抱きつく子供達は、皆、薄汚れた衣類を身にまとい、その中の一人は片足をひきずっていた。



「セス、この人は?」

子供の一人が、フォルテュナに視線を移し、セスに問う。



「こいつは俺の友達のフォルテュナだ。
よろしくな!」

「この人の耳は長いんだね!」

「そうさ、こいつは洞窟の向こう側からやって来た人なんだから!」



「えええーーーーーっっ!」



セスの言葉に子供達の叫び声が上がり、その視線は一斉にフォルテュナに集まった。



「フォルテュナ、今夜もまた昨夜と同じことになりそうだな。」

フォルテュナは諦めたように何度も頷き、苦い笑みを浮かべた。

 
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