1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
360 / 401
おかえり

しおりを挟む
「茉奈、おかえり~!」

 「ただいま~!」



 私は数日ぶりに茉奈の体を抱き締め、何とも言えない幸せな気分に酔いしれた。



 5日の夕方近くに、三人は帰って来た。
 両親は少し疲れた様子だけれど、茉奈は元気いっぱいだ。



 *



 「あぁ、やっぱり家は落ち着くわね。」

 熱いお茶をすすり、母がぽつりと呟く。



 「けっこう長い旅行だったから、疲れたでしょ?」

 「僕達ももう年ということかな。
まだまだ若いつもりだったんだけど、茉奈にはとても適わなかったよ。」

 父がそう言って苦笑する。



 「ママ、お土産いっぱいあるよ!」

 「そうなの?嬉しいな!
 茉奈、今日は子供の日だから、夜はちらし寿司よ。」

 「わぁい!やったー!」

 「なんだよ。旅行中も毎日ご馳走だっただろ。」

 父はまたしても苦笑した。



 夜は、みんなで子供の日を祝った。
 茉奈は、いちごの乗ったケーキと私の作ったちらし寿司に大喜びだ。
 料理はあまり得意じゃないけど、ちらし寿司だけはちょっと自信がある。



 *



 (……楽しい一日だったな。)



 夜になり、茉奈の寝顔を見ながら、私はささやかな幸せを噛み締めた。



 先日のことがふと頭をかすめた。
 図書館の隣のカフェで、マスターと他愛ない話でとても盛り上がった。
ちょっと前には、なんだかよそよそしい雰囲気を感じてたけど、あの日は本当に打ち解けた感じで話してくれて、とても嬉しかった。



 今日、もしも私の隣にマスターがいてくれたら…そんなことを考えては、切なくなった。
 私は、子持ちのバツイチ女。
そんな私をマスターが相手にするはずはない。



でも、たまにお茶を飲んだり、他愛ないおしゃべりをする、友達のような関係にはなれないかな?
それすらも高望みなのかな?
 私には、恋をする資格はもうないのかな?



そんなことを考えては、ちょっと落ち込んでみたり…



(さ、もう寝よっと。)



 私は、茉奈の横の布団に潜り込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
現代文学
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

Short stories

美希みなみ
恋愛
「咲き誇る花のように恋したい」幼馴染の光輝の事がずっと好きな麻衣だったが、光輝は麻衣の妹の結衣と付き合っている。その事実に、麻衣はいつも笑顔で自分の思いを封じ込めてきたけど……? 切なくて、泣ける短編です。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

処理中です...