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眩い光の中で

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「まずは、なにか食べに行こう!
…って言っても、予約なんてしてないから、たいした店には行けないけど…ごめんな。」

 「ううん、そんなのどこでも良い。
あ、近くにファミレスあるよ。
そこに行こうよ。」

 「良いのか、イヴにファミレスなんて…」

 「私、ファミレス好きだから!」



 俊と一緒に過ごせるなら、場所なんてどこだって良い。
 一緒にいられるだけで幸せだ。



 特別でもなんでもない食事だけど、俊と一緒のイヴだから、とても美味しく思えた。
 食後のデザートはもちろんケーキ。



 「やっぱり俊が作るケーキの方が美味しいね。」

 「そう?ありがと。
でも、これも美味しく感じるよ。
……加奈と一緒に食べてるからかな?」



もうっ!俊ったら…



でも、嬉しいよ。
 嬉しくてたまらない。



 俊と付き合い始めて、初めて一緒に過ごすイヴだもん。
 私…すっかり浮かれてるよ。



あぁ、だけど、こんなこととわかってたら、もっとおしゃれして来るんだった。
 普段通り、ジーンズにダウンなんて着て来てしまって、本当に悔しい。
お化粧だって、時間もなかったからそんなにじっくりとは出来なくて…



「……じゃあ、そろそろ行こうか。」

 「うん。」

 歩き始めた俊の腕に、そっと腕を絡めた。



 「どこに行くの?」

 「うん……」

 彼は教えてくれなかったけど、行き先なんてどこでも良い。
 腕を組んで、他愛ない会話をして一緒に歩くだけで、私は満足だ。



しばらく歩くと、少しずつ人の数が増えて来た。
それと同時に、明るい光が…



「俊…ここって……」

 俊はただ微笑むだけだった。



 「わぁ…綺麗……!」

まるで、昼間の太陽のようだった。
 色とりどりのイルミネーションで象られた光のオブジェが宝石のように煌めき…あたりに響く重厚な鐘の音が、ここを別世界のように感じさせてくれた。



 「昨夜、ネットで調べたんだ。
ここは比較的人が少なくてゆっくり見られるらしいよ。
……それに……」

 「それに、何なの?」

 「……ここでイヴを過ごしたカップルは、幸せになれるんだってさ。」



どこか照れたように、俊がそんなことを言う。
 俊がそんな言い伝えを言い出すなんて…
なんだか意外だよ。



でも、嬉しい…!



 「俊…イヴに会えなくても、私…我慢する。
だから、ずっと一緒にいてね。」

 「僕が加奈のこと、離すわけないだろ。」

 俊は、私をぎゅっと抱き締める。
その言葉が嬉しくて、私の頬を熱い涙が伝った。
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