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プレゼント
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「え…何??」
彼は、私の渡したプレゼントを前に、戸惑った顔をした。
「良かったら開けてみて。」
「うん。」
彼は嬉しそうな顔で、包みをほどく。
「あ……」
破られた包装紙の中から姿を現した腕時計に、彼はにっこりと微笑んだ。
「ありがとう、淳子。
でも、どうして?
誕生日でも何でもないのに…」
「え?う、うん…トモ君に似合う時計をみつけてしまって…それで、私がプレゼントしたかっただけだから。」
「そうなんだ…じゃあ、早速使わせてもらうね。」
彼は、腕時計を気に入ってくれたみたいだ。
それは嬉しいことだ。
でも、もしかしたら…っていう私の期待はやっぱり裏切られた。
今日はコスモスの日。
ホワイトデーから半年目のこの日に、コスモスを添えたプレゼントを贈り合って愛を確かめ合う日。
私がこの記念日のことを知ったのは、つい最近のこと。
まだまだマイナーな記念日みたいだ。
私達の恋は、バレンタインデーから始まった。
だから、コスモスの日も彼と一緒に迎えられたら…なんて期待してしまったのだけど、やっぱりそれは無理だったみたい。
彼がこの記念日に気付いてたら、赤いコスモスの包装紙をあんな風には破らないだろうし。
*
「あ、淳子…これ。」
デートの帰り際、彼が小さな紙袋をくれた。
「何、これ?」
彼はそれには答えず、ただ曖昧に微笑むだけだった。
彼と別れ、電車の中で、私は家に着くのを待ちきれずに紙袋の中をのぞいた。
(あ…!)
紙袋の中に入っていたのは、赤いコスモスの押し花の栞と小さな箱。
箱の中には、指輪とメッセージが入っていた。
『気が早いと笑われるかな?
でも、きっと僕の気持ちは今後も変わらないから。』
(トモ君……)
嬉しくて、思わず涙がこぼれてしまった。
頭が良くて、ポーカーフェイスな彼に、今日もまたやられてしまった。
彼は、コスモスの日を知っていた。
そして、私よりも一枚上手なプレゼントをくれたのだ。
(トモ君には敵わない…)
私は、OKの返信を送った。
彼は、私の渡したプレゼントを前に、戸惑った顔をした。
「良かったら開けてみて。」
「うん。」
彼は嬉しそうな顔で、包みをほどく。
「あ……」
破られた包装紙の中から姿を現した腕時計に、彼はにっこりと微笑んだ。
「ありがとう、淳子。
でも、どうして?
誕生日でも何でもないのに…」
「え?う、うん…トモ君に似合う時計をみつけてしまって…それで、私がプレゼントしたかっただけだから。」
「そうなんだ…じゃあ、早速使わせてもらうね。」
彼は、腕時計を気に入ってくれたみたいだ。
それは嬉しいことだ。
でも、もしかしたら…っていう私の期待はやっぱり裏切られた。
今日はコスモスの日。
ホワイトデーから半年目のこの日に、コスモスを添えたプレゼントを贈り合って愛を確かめ合う日。
私がこの記念日のことを知ったのは、つい最近のこと。
まだまだマイナーな記念日みたいだ。
私達の恋は、バレンタインデーから始まった。
だから、コスモスの日も彼と一緒に迎えられたら…なんて期待してしまったのだけど、やっぱりそれは無理だったみたい。
彼がこの記念日に気付いてたら、赤いコスモスの包装紙をあんな風には破らないだろうし。
*
「あ、淳子…これ。」
デートの帰り際、彼が小さな紙袋をくれた。
「何、これ?」
彼はそれには答えず、ただ曖昧に微笑むだけだった。
彼と別れ、電車の中で、私は家に着くのを待ちきれずに紙袋の中をのぞいた。
(あ…!)
紙袋の中に入っていたのは、赤いコスモスの押し花の栞と小さな箱。
箱の中には、指輪とメッセージが入っていた。
『気が早いと笑われるかな?
でも、きっと僕の気持ちは今後も変わらないから。』
(トモ君……)
嬉しくて、思わず涙がこぼれてしまった。
頭が良くて、ポーカーフェイスな彼に、今日もまたやられてしまった。
彼は、コスモスの日を知っていた。
そして、私よりも一枚上手なプレゼントをくれたのだ。
(トモ君には敵わない…)
私は、OKの返信を送った。
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