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短冊に願いを

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「まゆまゆ、起きて!
ねぇ、まゆまゆったら。」

 誰かが私の安眠を妨害する。



 「う~ん、うっさい。
なんなのよ。」

 「僕だよ。プリンシアーナの王子、ア、ル、ベ、ル、ト。」

 「アルベルト~?」



 眠い目をこすり、目の前にいる男性を見てみたら、それはまさしくアルベルト!
 私の大好きなアニメ『マイスィートプリンス』の主人公、アルベルトに違いない!



 「ど、ど、どうしてアルベルトが!?
アルベルトは二次元のキャラなのに。」

 「よく見てごらんよ。今は君だって二次元の住人さ。」

 「えっ!」

あたりを見渡せば、確かにここは私の部屋だけど、それは確かに二次元で…



「な、な、なんでこんなことが?」

 「君は、笹に願いのカードを吊るしたよね?
 『アルベルトと夢のような時間を過ごしたい』って。
 大人になっても、子供みたいな純粋な願いをかけてくれて嬉しかったよ。
 今日はそのお礼だよ。
なんたって今日は、魔法の王国プリンシアーナの100年祭だからね。」

 「えーっ!」

 軽くディスられてるような気もするけど、そんなことは気にしない、気にしない。



 信じられないけど、アルベルトの魔法で私はダサい部屋着からドレス姿に一瞬で変身し、空飛ぶ馬車に乗って、空の彼方のプリンシアーナを目指した。



 「わぁ!アニメとおんなじだぁ!」

プリンシアーナのお城に入ると、そこでは舞踏会が開かれていた。
 着飾ったみんなが私を歓迎してくれた。



 「まゆまゆ、踊ろう!」

 「わ、私、ダンスなんて…」

 「大丈夫!ここは二次元なんだから。」



 本当だった。
ダンスなんて踊ったことも無い私が、かろやかに踊ってる。



 (二次元ってすごいね!)



ワインを飲んでご馳走を食べて、そして、私の隣にはいつもアルベルトがいる。
アルベルトを狙ってる王女リリアナはすごく不満そう。
ふふん、いい気味!



だけど、楽しい時間は過ぎるのが早いもの。



 「あ、まゆまゆ、もうじき夜が明ける。宴はおしまいだ。」

 「いやよ!私、このまま二次元のキャラになる!」

 「残念だけど、それは出来ない。
まゆまゆ、今夜は来てくれてどうもありがとう!
みんな、まゆまゆに祝福を!」

アルベルトがそう言うと、香りの良い花が私の元に降り注ぐ。



 「やだ~!帰りたくない!」



そう絶叫したのを最後に私の意識は途絶えた。



 ***



 「なんだ、夢か…だよね。
あんなことが実際に起きるわけないよね。
でも、楽しい夢だったな。
……ん?」

 良い香りに気づきふと見ると、私のベッドのまわりには花がたくさん落ちていた。
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