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美味しいおかず
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(あぁ、いやだ…)
明日は、子供の運動会。
最近では、秋ではなく今頃に開催されることが多くなった。
なんでも、5月は晴れの日が多いからだとか、ゴールデンウィーク中は保護者も来やすいからということらしいけど…
とりあえず、料理が苦手な私にとって、運動会は最高にいやなイベントだ。
家族と一緒に食べるお弁当は、運動会の中でも重要な役割だ。
だから、いやだとか苦手だとか言ってられないのだけど、でも、苦手なものは苦手なんだから仕方がない。
「お母さん、運動会の日の5月2日は八十八夜なんだって。
八十八夜って何?」
「え?」
何?八十八夜…??
「え…っと。
茶摘みを始める日よ。
そんなことより幸人、早く宿題しなさいよ!」
良くわからないから、適当なことを言って誤魔化した。
息子は不満そうな顔をしながらも、リビングから離れ、自分の部屋に向かった。
(八十八夜って、一体、何?)
昨年は近くに住んでる母に頼んで作ってもらったけど、今年、母はお友達と旅行に行ってしまった。
だから、お弁当は自分で作るしかない。
そう思うだけで、気も全身も鉛のように重くなる。
*
「お母さん…このお弁当、お母さんが作ったでしょ?」
「え?なんで?」
「うん、なんとなく…」
きっと、息子は気を遣ったのだ。
何となくも何も、この酷い出来栄えを見ればすぐにわかる。
でも、見た目がなによ!料理は味よ…!
……とも、言えない。
息子はあれこれつまんでは、微妙な顔をして食べている。
私も一つ食べてみた。
食べられないって程ではなかったけど、お世辞にも美味しいとは言えない。
そのことは味見をした時点でわかってはいたけれど…
「あ、これ、美味しい…!」
息子は、タケノコの含め煮を食べて、笑顔になった。
「お母さん、これ、本当に美味しいよ!
すごく良い味してるよ!」
「そ、そう…?」
それは、お隣からお裾分けでもらったものだとは、私にはとても言えなかった。
明日は、子供の運動会。
最近では、秋ではなく今頃に開催されることが多くなった。
なんでも、5月は晴れの日が多いからだとか、ゴールデンウィーク中は保護者も来やすいからということらしいけど…
とりあえず、料理が苦手な私にとって、運動会は最高にいやなイベントだ。
家族と一緒に食べるお弁当は、運動会の中でも重要な役割だ。
だから、いやだとか苦手だとか言ってられないのだけど、でも、苦手なものは苦手なんだから仕方がない。
「お母さん、運動会の日の5月2日は八十八夜なんだって。
八十八夜って何?」
「え?」
何?八十八夜…??
「え…っと。
茶摘みを始める日よ。
そんなことより幸人、早く宿題しなさいよ!」
良くわからないから、適当なことを言って誤魔化した。
息子は不満そうな顔をしながらも、リビングから離れ、自分の部屋に向かった。
(八十八夜って、一体、何?)
昨年は近くに住んでる母に頼んで作ってもらったけど、今年、母はお友達と旅行に行ってしまった。
だから、お弁当は自分で作るしかない。
そう思うだけで、気も全身も鉛のように重くなる。
*
「お母さん…このお弁当、お母さんが作ったでしょ?」
「え?なんで?」
「うん、なんとなく…」
きっと、息子は気を遣ったのだ。
何となくも何も、この酷い出来栄えを見ればすぐにわかる。
でも、見た目がなによ!料理は味よ…!
……とも、言えない。
息子はあれこれつまんでは、微妙な顔をして食べている。
私も一つ食べてみた。
食べられないって程ではなかったけど、お世辞にも美味しいとは言えない。
そのことは味見をした時点でわかってはいたけれど…
「あ、これ、美味しい…!」
息子は、タケノコの含め煮を食べて、笑顔になった。
「お母さん、これ、本当に美味しいよ!
すごく良い味してるよ!」
「そ、そう…?」
それは、お隣からお裾分けでもらったものだとは、私にはとても言えなかった。
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