1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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真実の愛

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(こ、これが俺……!?)



 俺は、鏡を投げつけ、大きな声で絶叫していた。
 俺の体を押さえつけようとする看護師たちを振り払おうと暴れた時、肩にちくっとした痛みを感じ、俺は深い眠りに落ちて行った……







 「やぁ、ショーン…具合はどうだい?」

ボブの笑顔はひきつっている。
 彼は元々真面目だから、きっと、義務感で俺を見舞いに来てくれているのだろう。
それとも、単なる憐れみか…
しかし、それでもまだ良い方だ。
ほとんどの者はもうここへは来なくなったのだから。



 「来てくれてありがとう、ボブ…
来週、ようやく退院が決まったよ。」

 「そうか、それは良かった!」

 何が良いもんか。
これからの生活を考えたら、俺は不安と絶望で発狂しそうになってくる。



あの酷い事故で死ななかったのは奇跡だと言われた。
 確かにそれはそうだろう。
しかし、そのおかげで俺は顔の大半を失った。
 今の俺はまるで化け物のようだ。
そのため、普段は金属の仮面をかぶっている。
 仮面をつけた俺は、まさにロボットだ。
 笑うことも悲しむことも、俺の顔ではもはや何も出来ない…
俺はもう人間ではないのだ。



 将来、今よりも整形技術が進んだら、顔を取り戻すことも可能だろうと、医師はそんな気休めを言うが、俺の心にはもう希望はない。
こんな姿で生きるくらいなら死んだ方がましだ。
 俺の命を救った医師には、感謝ではなく憎しみを抱いている。



なぜ、俺を救ったんだ!?
こんな出来損ないのロボットにするくらいなら、救ってなんかほしくなかった。



 *



 「ただいま。」

 「ショーン!おかえりなさい。」

 母の笑顔もまた無理をしたものだった。
それも仕方のないことだ。
 実の親であっても、このロボットのような顔には違和感しか感じないだろう。



 久しぶりの実家は、懐かしいが、どこか落ち着かない。
 長椅子に座った時…可愛い鳴き声と共にマリーが俺の膝に上って来た。



 「マリー…ひさしぶりだな。やっと帰って来たよ。」



マリーは俺の膝の上で、ゴロゴロと喉を鳴らす。



その時…俺は気付いた。
そうだ…今の俺は、元の俺とはまるで違う機械のような顔をしている…
なのに、なぜマリーは……



「マリー…良く見ろ?
 俺が怖くないのか?」

マリーを抱き上げ、冷たい仮面の傍に近付けると、マリーはそこに頬を寄せ、なおゴロゴロと喉を鳴らした。



 涙が溢れて止まらなかった。
マリーは、俺がどれほど不気味な姿に変わっても、それでも変わらず愛してくれていた。



 「マリー…ありがとう…
本当にありがとう…」



この小さな生き物が、俺に生きる希望を与えてくれた。
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