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三つの条件
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(雪……雪が降ってる……!)
朝、目が覚めて、私は一番にカーテンを開いた。
どんよりとした空からは、真っ白な雪が降っていた。
この雪は、ただの雪じゃない。
私にとっては重要な意味を持つ雪なのだ。
「あけましておめでとう。」
家族でお雑煮を食べる元旦…
ごく普通の光景だけど、私の心は落ち着かない。
そう…今日は、とにかく私にとっては重要で特別な日だから。
「じゃあ、行って来るね。」
「寒いから早く帰って来なさいよ。」
「わかってるって。」
友達と福袋を買いに行くと言って家を出た。
でも、そんなの嘘…
本当は近くの神社に初詣に行く。
今日は一人で行くと決めていたから、そんな嘘を吐いたんだ。
年末、私はある決断をした。
同じ読書クラブの片岡先輩に告白するということを。
読書クラブに入って、片岡先輩と知り合って…
こんなにも趣味の合う人がいたことに、驚いた。
好きな作家も、好きな作品も、感動する部分もすごくよく似てて…
それがきっかけで、片岡先輩のことがだんだん気になって来て…
良く見れば、片岡先輩の眼鏡の奥の瞳はとっても綺麗だし、誰にでも優しい所とか、優しいのに人を導いていく力があるっていうかしっかりしてて…
常に片岡先輩のことを考えている自分に気が付いた。
私は晩生で自分から告白なんてしたことはないけれど、今回はなぜだか自分から告白してみようという気になった。
先輩が誰かに取られてしまう前に…
でも、やはり気弱な私は三つのことを条件付けた。
初詣に雪が降って、
参拝するまでに、知り合いから声をかけられることがなく、
おみくじが「吉」以上だったら…
この三つがクリア出来たら、私は片岡先輩に告白する。
そう決めたんだ。
雪はクリア出来た。
やがて、私は神社に着き、参拝客の列に並んだ。
神社はバスでニつ目の場所だから、知ってる人に会う確率は低くはない。
「どうか、片岡先輩と両想いになれますように…!」
参拝するまで誰にも声をかけられなかった。
条件はあとひとつ…
(だ、大吉だ!)
おみくじは、なんと大吉…!
私は三つの条件をクリアしてしまった。
嬉しいといえば嬉しいのだけど、逆にプレッシャーも高まって来た。
いつ、どうやって、告白しよう…!?
参拝客の雑踏の中、私は舞い散る粉雪をみつめながら、ただそのことだけを考えていた。
朝、目が覚めて、私は一番にカーテンを開いた。
どんよりとした空からは、真っ白な雪が降っていた。
この雪は、ただの雪じゃない。
私にとっては重要な意味を持つ雪なのだ。
「あけましておめでとう。」
家族でお雑煮を食べる元旦…
ごく普通の光景だけど、私の心は落ち着かない。
そう…今日は、とにかく私にとっては重要で特別な日だから。
「じゃあ、行って来るね。」
「寒いから早く帰って来なさいよ。」
「わかってるって。」
友達と福袋を買いに行くと言って家を出た。
でも、そんなの嘘…
本当は近くの神社に初詣に行く。
今日は一人で行くと決めていたから、そんな嘘を吐いたんだ。
年末、私はある決断をした。
同じ読書クラブの片岡先輩に告白するということを。
読書クラブに入って、片岡先輩と知り合って…
こんなにも趣味の合う人がいたことに、驚いた。
好きな作家も、好きな作品も、感動する部分もすごくよく似てて…
それがきっかけで、片岡先輩のことがだんだん気になって来て…
良く見れば、片岡先輩の眼鏡の奥の瞳はとっても綺麗だし、誰にでも優しい所とか、優しいのに人を導いていく力があるっていうかしっかりしてて…
常に片岡先輩のことを考えている自分に気が付いた。
私は晩生で自分から告白なんてしたことはないけれど、今回はなぜだか自分から告白してみようという気になった。
先輩が誰かに取られてしまう前に…
でも、やはり気弱な私は三つのことを条件付けた。
初詣に雪が降って、
参拝するまでに、知り合いから声をかけられることがなく、
おみくじが「吉」以上だったら…
この三つがクリア出来たら、私は片岡先輩に告白する。
そう決めたんだ。
雪はクリア出来た。
やがて、私は神社に着き、参拝客の列に並んだ。
神社はバスでニつ目の場所だから、知ってる人に会う確率は低くはない。
「どうか、片岡先輩と両想いになれますように…!」
参拝するまで誰にも声をかけられなかった。
条件はあとひとつ…
(だ、大吉だ!)
おみくじは、なんと大吉…!
私は三つの条件をクリアしてしまった。
嬉しいといえば嬉しいのだけど、逆にプレッシャーも高まって来た。
いつ、どうやって、告白しよう…!?
参拝客の雑踏の中、私は舞い散る粉雪をみつめながら、ただそのことだけを考えていた。
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