1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

文字の大きさ
上 下
95 / 401
インスタ映え

しおりを挟む
「うわぁ、こんなに濡れちゃった。」

 「でも、良かったよね。
このお店があって…」

 「そうだね。」

 私達はハンカチで濡れた衣服を拭い、席に着いた。



 友達の麻衣子とやって来た一泊旅行。
 観光の途中で突然の雨に遭い、私達は目に付いたこの甘味処に駆け込んだ。



 「ねぇ…何にする?」

 「う~ん…と。」

お品書きを見ていると、あるものが目に留まった。



 「見て!わらび餅が2000円なんだって!
もしかして、ここってぼったくりの店なのかな?」

 「やぁね…美紀、知らないの?
 本物のわらび粉って高いらしいよ。
ほら、ここに書いてあるじゃない。
 『本わらび粉使用』って。」

 「そうなの?」

わらび餅なんて、安いだけのお菓子だと思い込んでた私は、妙に気を惹かれてしまった。



 「よし!私、わらび餅にする!」

 普段はどちらかというと節約家の私だけど、旅先では不思議と気持ちが大きくなるものだ。



 「え~…じゃあ、私も!」

 結局、私達は二人共わらび餅を注文した。



 *



 「お待たせしました。」

 出て来るまでに意外と時間がかかった。
その間にも2000円のわらび餅への期待は上がる。



 「わぁ…なんかこのわらび餅黒いね!」

 「本当だね、わらび餅って普通は透明だよね?」

 目の前に置かれた黒っぽいわらび餅を私達はスマホで撮影する。



 「あ、このきな粉、なんかにおいが違う!」

 「うんうん、なんか違うよね!豆っぽい?」

 黒いわらび餅にきな粉をかけ、さらに黒蜜をかけて、また撮影。
 見た目は地味だけど、時にはこういう和風なものも珍しくて良い感じだ。



 「あ……すっごくもちもちしてる!」

 「どれどれ…あ、本当!」



わらび餅もきな粉も黒蜜も、すべてが普段のわらび餅とはかなり違う感じだ。
なんというか、どれもこれもが上品で上等に思える。
これはさすがに高いだけの値打ちがある!と思えた。



 「おいしかったね~!」

 「うん、最高!さすがに本物は違うよね!」

 「あ…雨あがってるみたい。」

 「良かった~!」

 窓の外がいつの間にか明るくなっていた。



 「あ!見て!あれ!」

 外に出て、麻衣子が空を指さした。
 空には大きな七色のアーチが掛かっていた。



 「わぁ、虹なんて何年ぶりかな。」

 「あ!早く撮らなきゃ!」

 「あ、麻衣子!
 虹をバックに撮ってよ!」

 「あ、私も、私も!」

 虹を見て、私達のテンションはさらにあがった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

第二王子は憂鬱~divine femto~ 学園都市ピオニール編

霜條
ファンタジー
ラウルス国、東部にある学園都市ピオニール。――ここは王侯貴族だけだなく庶民でも学べる場所として広く知られており、この場所で5年に一度の和平条約の締結式が行われる予定の地。 隣国の使者が訪れる日、ラウルス国第二王子のディアスは街の中で何者かに襲われ、その危機を見知らぬ少年が助けてくれた。 その人は会えなくなった友人の少女、クリスだった。――父の友人の娘で過去に一度会ったことがあるが、11年前に壁を挟んだ隣の国、聖国シンで神の代行者に選ばれた人でもあった。 思わぬ再会に驚くも、彼女は昔の記憶がなく王子のことをよく知らなかった。 立場上、その人は国を離れることができないため、もう会えないものと諦めていた王子は遠く離れた地でずっと安寧を願うことしか出来ない日々を過ごしていた。届かない関係であれば、それで満足だった。 ただ今回締結式に向けて、彼女は学園内で起きた事件や問題の解決のために来ており、名を伏せ、身分を隠し、性別を偽り王子のクラスメイトとなる。 問題解決まで二週間という短い期間だけしかその人には与えられていないが、改めて『友人』から関係を始めることができることにディアスは戸惑いつつも、これから共に過ごせる時間が楽しみでもあった。 常識が通じないところもあるが、本人の本質が変わらないことに気付き、立場が違ってもあの頃と変わらない関係に安寧を見つける。 神に選ばれた人に、ただの人でもある王子のディアスは『友人』関係で満足しようとするが、交流を続けるうちに次第に自分の気持ちに気付いていく――。 ※まったり進行のラブコメ、ときどき陰謀シリアス計略あり。NL,BL,GL有りの世界観です。長文が読みたい方にオススメです。 ▼簡単な登場人物を知りたい方はこちら▼ https://www.alphapolis.co.jp/novel/219446670/992905715/episode/9033058?preview=1 ※『間奏曲』はメインから外れた周りの話です。基本短編です。

短編集・1巻

仙 岳美
大衆娯楽
短編のまとめです。

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

転売屋(テンバイヤー)は相場スキルで財を成す

エルリア
ファンタジー
【祝!第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!】 転売屋(テンバイヤー)が異世界に飛ばされたらチートスキルを手にしていた! 元の世界では疎まれていても、こっちの世界なら問題なし。 相場スキルを駆使して目指せ夢のマイショップ! ふとしたことで異世界に飛ばされた中年が、青年となってお金儲けに走ります。 お金は全てを解決する、それはどの世界においても同じ事。 金金金の主人公が、授かった相場スキルで私利私欲の為に稼ぎまくります。

催眠術(純は催眠術にかかったフリをして好きな京子にもてあそばれる)

浅野浩二
恋愛
学校で催眠術ゴッコが流行った。純は京子が好きで、京子は純に催眠術をかける。純は催眠術にかかってないけれど、催眠術にかかったフリをする。

本当にあった怖い話

邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。 完結としますが、体験談が追加され次第更新します。 LINEオプチャにて、体験談募集中✨ あなたの体験談、投稿してみませんか? 投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。 【邪神白猫】で検索してみてね🐱 ↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください) https://youtube.com/@yuachanRio ※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

処理中です...