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真相
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「わっ!」
その時、電話の着信があり、俺はおかしな声をあげてしまった。
画面に出ているのは、友人の真壁の名前だった。
「はい。」
「あ、修二?今、近くにいるんだけど、ちょっと寄って良いかな?」
「あぁ、助かった!
ぜひ来てくれ!」
「助かったって…?」
「良いから、とにかく早く来てくれよ!」
*
「どうしたんだ、これ?」
部屋に入るなり、真壁は目を丸くした。
「なぁ、やっぱりこういう場合、警察に言わなきゃいけないのかな?」
「何盗られたんだ?」
真壁は、ベッドの縁に腰を降ろした。
「う…ん。それが今のところよくわからないんだけど…
それにこの松茸…」
「これは、斎藤にもらったやつだろ?」
「えっ!?斎藤に?」
「まさか…覚えてないのか?」
そう言われた途端、昨夜のことが思い出された。
昨夜、斎藤に呼び出されて、真壁、松本、そして俺の四人で久しぶりに会って、居酒屋で飲んだんだ。
でも…松茸のことはまるで記憶がない。
「俺、そんなに飲んでた?」
「あぁ、確かにけっこう飲んでたな。
テンションも高くて、良くしゃべって、馬鹿みたいに笑ってた。」
そうだ…俺は、酔うととにかく陽気になるんだ。
昨日は空腹で行ったから、酔いが回るのが早かったのか?
「おまえ、松本のネクタイを奪ったことも覚えてないのか?」
「え?ネクタイ?」
「そうそう…あ!これだ、これ!」
真壁は足元から、見知らぬネクタイを拾い上げた。
「来週、誕生日だから、誕生祝にそのネクタイをくれってしつこくてさ。
それで、無理やり松本から奪ったじゃないか。
おまえ、ふだんはネクタイなんて締めないじゃないかって言ったら、このネクタイに合うピンクのシャツを持ってるとか言ってさ。」
(ピンクのシャツ…?)
確かにそれには覚えがあった。
俺はいつもTシャツやトレーナーばかりだけど、店員に勧められてつい買ってしまったピンクのシャツがあるんだ。
でも、一体どこにしまったのやら…
(あ…!)
それじゃあ…酔って帰った俺は、ピンクのシャツを探してこんなに散らかした…?
つまり、犯人は……俺!?
「ははは…
もしかしたら…」
「自分でやったってことか?」
真壁も真相に気付いたようだ。
「な、松茸食べようぜ!
そうそう、しめじもあったはずだ。
何が良いかな?やっぱり炊き込みご飯か?」
「そうだな。」
「よし!今、作るから待っててくれ!」
散らかった服の山を越えながら、俺は台所に向かった。
あんなに痛んでた頭痛も、いつの間にか治っていた。
その時、電話の着信があり、俺はおかしな声をあげてしまった。
画面に出ているのは、友人の真壁の名前だった。
「はい。」
「あ、修二?今、近くにいるんだけど、ちょっと寄って良いかな?」
「あぁ、助かった!
ぜひ来てくれ!」
「助かったって…?」
「良いから、とにかく早く来てくれよ!」
*
「どうしたんだ、これ?」
部屋に入るなり、真壁は目を丸くした。
「なぁ、やっぱりこういう場合、警察に言わなきゃいけないのかな?」
「何盗られたんだ?」
真壁は、ベッドの縁に腰を降ろした。
「う…ん。それが今のところよくわからないんだけど…
それにこの松茸…」
「これは、斎藤にもらったやつだろ?」
「えっ!?斎藤に?」
「まさか…覚えてないのか?」
そう言われた途端、昨夜のことが思い出された。
昨夜、斎藤に呼び出されて、真壁、松本、そして俺の四人で久しぶりに会って、居酒屋で飲んだんだ。
でも…松茸のことはまるで記憶がない。
「俺、そんなに飲んでた?」
「あぁ、確かにけっこう飲んでたな。
テンションも高くて、良くしゃべって、馬鹿みたいに笑ってた。」
そうだ…俺は、酔うととにかく陽気になるんだ。
昨日は空腹で行ったから、酔いが回るのが早かったのか?
「おまえ、松本のネクタイを奪ったことも覚えてないのか?」
「え?ネクタイ?」
「そうそう…あ!これだ、これ!」
真壁は足元から、見知らぬネクタイを拾い上げた。
「来週、誕生日だから、誕生祝にそのネクタイをくれってしつこくてさ。
それで、無理やり松本から奪ったじゃないか。
おまえ、ふだんはネクタイなんて締めないじゃないかって言ったら、このネクタイに合うピンクのシャツを持ってるとか言ってさ。」
(ピンクのシャツ…?)
確かにそれには覚えがあった。
俺はいつもTシャツやトレーナーばかりだけど、店員に勧められてつい買ってしまったピンクのシャツがあるんだ。
でも、一体どこにしまったのやら…
(あ…!)
それじゃあ…酔って帰った俺は、ピンクのシャツを探してこんなに散らかした…?
つまり、犯人は……俺!?
「ははは…
もしかしたら…」
「自分でやったってことか?」
真壁も真相に気付いたようだ。
「な、松茸食べようぜ!
そうそう、しめじもあったはずだ。
何が良いかな?やっぱり炊き込みご飯か?」
「そうだな。」
「よし!今、作るから待っててくれ!」
散らかった服の山を越えながら、俺は台所に向かった。
あんなに痛んでた頭痛も、いつの間にか治っていた。
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