1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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真相

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「わっ!」

その時、電話の着信があり、俺はおかしな声をあげてしまった。
 画面に出ているのは、友人の真壁の名前だった。



 「はい。」

 「あ、修二?今、近くにいるんだけど、ちょっと寄って良いかな?」

 「あぁ、助かった!
ぜひ来てくれ!」

 「助かったって…?」

 「良いから、とにかく早く来てくれよ!」



 *



 「どうしたんだ、これ?」

 部屋に入るなり、真壁は目を丸くした。



 「なぁ、やっぱりこういう場合、警察に言わなきゃいけないのかな?」

 「何盗られたんだ?」

 真壁は、ベッドの縁に腰を降ろした。



 「う…ん。それが今のところよくわからないんだけど…
それにこの松茸…」

 「これは、斎藤にもらったやつだろ?」

 「えっ!?斎藤に?」

 「まさか…覚えてないのか?」

そう言われた途端、昨夜のことが思い出された。
 昨夜、斎藤に呼び出されて、真壁、松本、そして俺の四人で久しぶりに会って、居酒屋で飲んだんだ。
でも…松茸のことはまるで記憶がない。



 「俺、そんなに飲んでた?」

 「あぁ、確かにけっこう飲んでたな。
テンションも高くて、良くしゃべって、馬鹿みたいに笑ってた。」

そうだ…俺は、酔うととにかく陽気になるんだ。
 昨日は空腹で行ったから、酔いが回るのが早かったのか?



 「おまえ、松本のネクタイを奪ったことも覚えてないのか?」

 「え?ネクタイ?」

 「そうそう…あ!これだ、これ!」

 真壁は足元から、見知らぬネクタイを拾い上げた。



 「来週、誕生日だから、誕生祝にそのネクタイをくれってしつこくてさ。
それで、無理やり松本から奪ったじゃないか。
おまえ、ふだんはネクタイなんて締めないじゃないかって言ったら、このネクタイに合うピンクのシャツを持ってるとか言ってさ。」



 (ピンクのシャツ…?)



 確かにそれには覚えがあった。
 俺はいつもTシャツやトレーナーばかりだけど、店員に勧められてつい買ってしまったピンクのシャツがあるんだ。
でも、一体どこにしまったのやら…



(あ…!)



それじゃあ…酔って帰った俺は、ピンクのシャツを探してこんなに散らかした…?
つまり、犯人は……俺!?



 「ははは…
もしかしたら…」

 「自分でやったってことか?」

 真壁も真相に気付いたようだ。



 「な、松茸食べようぜ!
そうそう、しめじもあったはずだ。
 何が良いかな?やっぱり炊き込みご飯か?」

 「そうだな。」

 「よし!今、作るから待っててくれ!」

 散らかった服の山を越えながら、俺は台所に向かった。
あんなに痛んでた頭痛も、いつの間にか治っていた。

 
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