上 下
35 / 401
家庭菜園

しおりを挟む
「ねぇ…なんで今日じゃなきゃ駄目なんだい?」

 僕は土を掘りながら、隣の静香に質問した。



 「だって、今日が種蒔きには一番良い日なんだもん!」

 「なんで?」

 「大ちゃん…知らないの?今日は穀雨なの、こ・く・う!」

 「穀雨…?何?それ。」

 「あのね、穀雨っていうのは、種蒔きに一番良い日なの!」

なんだかよくわからない説明だけど…きっとまたいつものやつだ。
 静香は、迷信深いっていうのか…ゲン担ぎをするタイプなんだ。



 最近、急に家庭菜園にハマった静香は、なぜだか今日植えると決めていて、僕は、今日、有給休暇を取らされた。 
 何がなんでも今日でなきゃいけない理由…それが、『穀雨』らしい。 



 「静香…でも、これって種じゃなくて苗だけど…」

 「細かいことは気にしなくて良いの!」

つまらないことを言って、彼女を怒らせるのは良くないことだ。
 僕は彼女の言う通りに、黙って苗を植えた。 
それらに水をまいて、今日の作業は完了した。



 「お疲れ様。すぐにごはんにするからね。」

 僕がしっかり作業をしたせいか、静香の機嫌は良い。
しばらくすると、良いにおいが漂ってきて…



「お待ち遠様!」

 「わぁ、タケノコご飯じゃない!」

タケノコは僕の大好物だ。
うん、うまい!
しゃきしゃきの歯ごたえがたまらない。



 「そういえば、タケノコを植えたら、またタケノコが出てくるのかな?」

 「え?タケノコじゃなくて竹なんじゃない…?」

 「あ、そうか。じゃあ、竹植えようか?
そしたら、タケノコ食べ放題だよ。
 2~3本くらいなら植える場所あるし。」

 「そうだね、それ…良いかも。」

 竹は、我が家の狭い庭で育てられるようなものではないということをその時の僕達はまったく知らなかった…

 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【ショートショート】おやすみ

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

魔拳のデイドリーマー

osho
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生した少年・ミナト。ちょっと物騒な大自然の中で、優しくて美人でエキセントリックなお母さんに育てられた彼が、我流の魔法と鍛えた肉体を武器に、常識とか色々ぶっちぎりつつもあくまで気ままに過ごしていくお話。 主人公最強系の転生ファンタジーになります。未熟者の書いた、自己満足が執筆方針の拙い文ですが、お暇な方、よろしければどうぞ見ていってください。感想などいただけると嬉しいです。

伯爵令嬢アンマリアのダイエット大作戦

未羊
ファンタジー
気が付くとまん丸と太った少女だった?! 痩せたいのに食事を制限しても運動をしても太っていってしまう。 一体私が何をしたというのよーっ! 驚愕の異世界転生、始まり始まり。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

素材採取家の異世界旅行記

木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。 可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。 個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。 このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。 裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。 この度アルファポリスより書籍化致しました。 書籍化部分はレンタルしております。

器用貧乏の意味を異世界人は知らないようで、家を追い出されちゃいました。

武雅
ファンタジー
この世界では8歳になると教会で女神からギフトを授かる。 人口約1000人程の田舎の村、そこでそこそこ裕福な家の3男として生まれたファインは8歳の誕生に教会でギフトを授かるも、授かったギフトは【器用貧乏】 前例の無いギフトに困惑する司祭や両親は貧乏と言う言葉が入っていることから、将来貧乏になったり、周りも貧乏にすると思い込み成人とみなされる15歳になったら家を、村を出て行くようファインに伝える。 そんな時、前世では本間勝彦と名乗り、上司と飲み入った帰り、駅の階段で足を滑らし転げ落ちて死亡した記憶がよみがえる。 そして15歳まであと7年、異世界で生きていくために冒険者となると決め、修行を続けやがて冒険者になる為村を出る。 様々な人と出会い、冒険し、転生した世界を器用貧乏なのに器用貧乏にならない様生きていく。 村を出て冒険者となったその先は…。 ※しばらくの間(2021年6月末頃まで)毎日投稿いたします。 よろしくお願いいたします。

三百字 -三百字の短編小説集-

福守りん
ライト文芸
三百字以内であること。 小説であること。 上記のルールで書かれた小説です。 二十五才~二十八才の頃に書いたものです。 今だったら書けない(書かない)ような言葉がいっぱい詰まっています。 それぞれ独立した短編が、全部で二十話です。 一話ずつ更新していきます。

処理中です...