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デビュー
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「へ、へ、へくしょん!」
「遠藤さん…くしゃみ止まらないみたいですけど、もしかして花粉症すか?」
「バ、馬鹿野郎!
俺がそんな軟弱なものにかかるかよ!
昭和生まれは丈夫なんだぞ!」
「それなら良いんすけど…」
そうだ…俺がまだ若い頃なんて、『花粉症』なんて言葉さえ聞いたことがなかった。
昭和生まれはそんなものにはかからない。
いや、そもそもハワイには杉の木がないんだから、花粉症であるはずがない。
きっと、このくしゃみは風邪に違いない。
それにしても、俺はツイてない。
せっかくの…しかも、この年にして初めての海外旅行だっていうのに、風邪を引いてしまうとは…
それに、寒い国ならともかくも、なんでこんな常夏の国で…
「へ、へくしょん!」
幸い、くしゃみと鼻水だけで、熱はないから、今日のダイヤモンドヘッドへのハイキングは問題ないけど…
「おい、三上…ティッシュ持ってないか?」
「どうぞ。」
三上はティッシュだけじゃなくて、マスクもくれた。
ダイヤモンドヘッドからの素晴らしい眺めも、くしゃみと鼻水のせいで、あまり楽しめなかった。
本当になんてことだ。
「鼻の穴にティッシュ詰めとくといいっすよ。」
「あ…そうだな。それ良いかも。」
すすってもすすっても鼻水は垂れて来る。
三上のアイディアで、それがちょっとだけマシにはなった。
でも、次の日もそんな症状はまったくおさまることなく、どちらかというと悪化したような気さえする。
親方のすすめで、俺は、日本人医師のいる病院に行く事にした。
風邪は万病の元とも言うから、あなどってはいけない。
*
「花粉症ですね。」
「えーーーーっ!そ、そんな馬鹿な!
風邪じゃないんですか?」
「マンゴーの花粉にやられたのでしょうね。」
「な、な、なんだって~!」
とてもじゃないけど、信じられなかった。
昭和40年代生まれの俺が、そんな軟弱なものにかかるなんて…
しかも、マンゴーの花粉だと?
いいかげんなこと、いいやがって!きっとこの医者がヤブなんだ!
日本に戻ったら、またちゃんと調べてやる!
そんなわけで、俺の初めての海外旅行はさんざんなものとなった。
*
「えーーーっ!マジですか!?」
日本に戻って来た俺は、病院で『花粉症』との診断を受けた。
俺は素直に、敗北を認めるしかなかった…
「遠藤さん…くしゃみ止まらないみたいですけど、もしかして花粉症すか?」
「バ、馬鹿野郎!
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そうだ…俺がまだ若い頃なんて、『花粉症』なんて言葉さえ聞いたことがなかった。
昭和生まれはそんなものにはかからない。
いや、そもそもハワイには杉の木がないんだから、花粉症であるはずがない。
きっと、このくしゃみは風邪に違いない。
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すすってもすすっても鼻水は垂れて来る。
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でも、次の日もそんな症状はまったくおさまることなく、どちらかというと悪化したような気さえする。
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*
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「えーーーーっ!そ、そんな馬鹿な!
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とてもじゃないけど、信じられなかった。
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しかも、マンゴーの花粉だと?
いいかげんなこと、いいやがって!きっとこの医者がヤブなんだ!
日本に戻ったら、またちゃんと調べてやる!
そんなわけで、俺の初めての海外旅行はさんざんなものとなった。
*
「えーーーっ!マジですか!?」
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俺は素直に、敗北を認めるしかなかった…
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