1ページ劇場③

ルカ(聖夜月ルカ)

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財布の紐

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「えーっと…あ、あったあった。」



 改札を出ると、目的のスーパーはすぐにみつかった。 



 今日のバイトは試食販売。いわゆるマネキンさんだ。 
 土日も特に用事なんてないから、単発のバイトをみつけては働いている。 
 守銭奴とかケチとか言われようが、そんなことは気にしない! 
だって、一番頼りになるのはなんといってもお金だもん。



 (さて、と。頑張るぞ!)



 今日、売るのは、新発売のパンダかまぼこ。 
 子供のお弁当用に開発されたかまぼこで、なんとチョコレートが練り込まれている甘いかまぼこらしい。 



 「新発売のパンダかまぼこです。どうぞご試食してみて下さい。」



 「ママ、見て見て!パンダちゃんのかまぼこだって!」

 子供がお母さんをひっぱって来る。 



 「どうぞ!」

 私はその親子に、小さく切ったかまぼこをすすめた。 



 「チョコレートが練り込まれてるんですよ。」

 「甘くておいしい!ママ、買って!」

 「だめよ。こんな甘いの、お弁当には合わないわ。それに高いし。」



 子供は気に入ってくれたっていうのに、親の財布の紐はかたい。



その後も試食にはたくさんの人が来てくれたけど、買ってくれたのはごく一部だった。 



 (あ~あ…)



ようやく、今日の仕事が終わった。
ずっと立ってたから足が痛い。



せっかくスーパーに来てるんだから、何か買って帰ろう。
そうは思ったけど、ぐるぐる歩き回って、結局買ったのは半額になってたポテサラだけ。 
 私の財布の紐もやっぱり固い。

 
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