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故郷の味
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(くぅ~~…)
何度思い出しても心がえぐられる。
小花柄の振袖に、紫の袴姿の先輩は、めっちゃ綺麗やった。
まるでお人形さんみたいや。
先輩は俺には手の届かへん人やていうのは最初からわかってたし、告白はせぇへんつもりやったけど…
今日の袴姿があまりに可愛かったから、ついゆうてしもたんや。
そしたら、返って来たんは「ごめんなさい。」のひとこと。
しかも、東京弁やから、ものごっついきつい感じに聞こえたんや。
「あんた、誰に告ってんの?
あんたと私が釣り合うわけないやろ。
そんなんもわからへんの?あほちゃう?」
と、でも言われたような感じやった。
サークルで知り合って一目惚れして…
それから二年間密かに思い続けていた俺の恋は、あっけなく玉砕や。
重い足をひきずって、俺は家に戻った。
今夜は、やけ酒でも飲もかな…って、俺、酒にはめちゃめちゃ弱いんやけど…
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「はい~!」
来たんは宅配便のおっちゃんやった。
差出人はおかんや。
何送ってくれたんやろ?送られて来た小さめの段ボールを開けてみた。
「わっ!」
いかなごのくぎ煮や!
今年はいかなごが高いから炊けへんてゆうてたのに、やっぱり買うたんやな!
俺は早速ごはんをよそた。
送られて来たいかなごで、ごはんを食べる。
(うまぁ……)
やっぱし、俺…卒業したら神戸に帰ろ。
東京に憧れて来てみたもんの…やっぱり、こっちにはいまいち馴染めん。
いや、なにも先輩に振られたからとちゃうで。
って…確かにそれもあるけどな。
なにより、こっちにはくぎ煮ないし。
(それにしても、ほんま、うまいわ。
おかん、くぎ煮の天才やな。)
くぎ煮のおかげで、ちょっとだけ元気が出た。
(ありがとうな、おかん…)
何度思い出しても心がえぐられる。
小花柄の振袖に、紫の袴姿の先輩は、めっちゃ綺麗やった。
まるでお人形さんみたいや。
先輩は俺には手の届かへん人やていうのは最初からわかってたし、告白はせぇへんつもりやったけど…
今日の袴姿があまりに可愛かったから、ついゆうてしもたんや。
そしたら、返って来たんは「ごめんなさい。」のひとこと。
しかも、東京弁やから、ものごっついきつい感じに聞こえたんや。
「あんた、誰に告ってんの?
あんたと私が釣り合うわけないやろ。
そんなんもわからへんの?あほちゃう?」
と、でも言われたような感じやった。
サークルで知り合って一目惚れして…
それから二年間密かに思い続けていた俺の恋は、あっけなく玉砕や。
重い足をひきずって、俺は家に戻った。
今夜は、やけ酒でも飲もかな…って、俺、酒にはめちゃめちゃ弱いんやけど…
その時、玄関のチャイムが鳴った。
「はい~!」
来たんは宅配便のおっちゃんやった。
差出人はおかんや。
何送ってくれたんやろ?送られて来た小さめの段ボールを開けてみた。
「わっ!」
いかなごのくぎ煮や!
今年はいかなごが高いから炊けへんてゆうてたのに、やっぱり買うたんやな!
俺は早速ごはんをよそた。
送られて来たいかなごで、ごはんを食べる。
(うまぁ……)
やっぱし、俺…卒業したら神戸に帰ろ。
東京に憧れて来てみたもんの…やっぱり、こっちにはいまいち馴染めん。
いや、なにも先輩に振られたからとちゃうで。
って…確かにそれもあるけどな。
なにより、こっちにはくぎ煮ないし。
(それにしても、ほんま、うまいわ。
おかん、くぎ煮の天才やな。)
くぎ煮のおかげで、ちょっとだけ元気が出た。
(ありがとうな、おかん…)
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