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お父さんの雪うさぎ
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(まだ降ってる…)
今年の冬はすっごく寒い。
いつもは雪なんて滅多に降らないのに、今年はたくさん降って…これでもう五日も降り続いてる。
おかげで庭は全部真っ白だ。
「明日は雪かきしなきゃいけないな。」
「スコップ買っといて正解だったわね。」
お父さんとお母さんは、外を見ながらそんな話をしていた。
*
「ヒカル!早く、出て来いよ~!」
次の朝、僕はお父さんの大きな声で起こされた。
時計を見たら、まだ7時だった。
学校が休みの日は、こんなに早く起きなくて良いのに。
(さむっ…)
僕はパジャマの上にダウンをひっかけて外に出た。
「うわっ!」
庭にはでっかい雪うさぎがいた。
「お父さん…どうしたの?これ。」
「雪かきするだけじゃもったいないって思って作ったんだ。
どうだ?すごいだろう?」
お父さんは、雪うさぎを自慢した。
でも、確かにすごい。
「まぁ!なによ、これ!」
出て来たお母さんが、雪うさぎを見て大きな声を出した。
「すごいだろ!」
「すごいじゃないでしょ!これ、にんじんじゃないの!?」
「え…あはは。赤い物って言ったら、にんじんしか思いつかなくて…」
本当だ…うさぎの目には、にんじんが三本ずつ使われていた。
お母さんは、さすがに主婦だね、そんなところに気が付くなんて。
「食べ物をそんなものに使って…」
お母さんは、にんじんのことをけっこう怒ってる。
「ま、そんなに怒らないでよ。
そんなことより、二人とも…こっちに来てよ。」
お父さんが手招きするから、門の方へまわってみると…
「うわぁ…」
雪うさぎは、中が空洞になっていた。
しかも、真ん中にはなんだかよくわからないものが置いてあって、その上には網が載せてあった。
「さ、入って!」
「あなた…一体、何時からこんなもの作ってたの?
しかもこんな火鉢、一体どこから持って来たのよ。
それに座布団が濡れちゃうじゃないの!」
お母さんは怒りながらも、僕と一緒にうさぎの中に入った。
「さ、とにかく二人とも座って。」
お父さんは、火鉢ってものの上にお餅を置いた。
雪の中なのに、なんとなく暖かいような感じがする。
しばらくすると、網の上のお餅はぷくーっと膨れて…
「おいしいだろ?」
「うん。」
お母さんもいつの間にか笑顔になっていた。
今年の冬はすっごく寒い。
いつもは雪なんて滅多に降らないのに、今年はたくさん降って…これでもう五日も降り続いてる。
おかげで庭は全部真っ白だ。
「明日は雪かきしなきゃいけないな。」
「スコップ買っといて正解だったわね。」
お父さんとお母さんは、外を見ながらそんな話をしていた。
*
「ヒカル!早く、出て来いよ~!」
次の朝、僕はお父さんの大きな声で起こされた。
時計を見たら、まだ7時だった。
学校が休みの日は、こんなに早く起きなくて良いのに。
(さむっ…)
僕はパジャマの上にダウンをひっかけて外に出た。
「うわっ!」
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「お父さん…どうしたの?これ。」
「雪かきするだけじゃもったいないって思って作ったんだ。
どうだ?すごいだろう?」
お父さんは、雪うさぎを自慢した。
でも、確かにすごい。
「まぁ!なによ、これ!」
出て来たお母さんが、雪うさぎを見て大きな声を出した。
「すごいだろ!」
「すごいじゃないでしょ!これ、にんじんじゃないの!?」
「え…あはは。赤い物って言ったら、にんじんしか思いつかなくて…」
本当だ…うさぎの目には、にんじんが三本ずつ使われていた。
お母さんは、さすがに主婦だね、そんなところに気が付くなんて。
「食べ物をそんなものに使って…」
お母さんは、にんじんのことをけっこう怒ってる。
「ま、そんなに怒らないでよ。
そんなことより、二人とも…こっちに来てよ。」
お父さんが手招きするから、門の方へまわってみると…
「うわぁ…」
雪うさぎは、中が空洞になっていた。
しかも、真ん中にはなんだかよくわからないものが置いてあって、その上には網が載せてあった。
「さ、入って!」
「あなた…一体、何時からこんなもの作ってたの?
しかもこんな火鉢、一体どこから持って来たのよ。
それに座布団が濡れちゃうじゃないの!」
お母さんは怒りながらも、僕と一緒にうさぎの中に入った。
「さ、とにかく二人とも座って。」
お父さんは、火鉢ってものの上にお餅を置いた。
雪の中なのに、なんとなく暖かいような感じがする。
しばらくすると、網の上のお餅はぷくーっと膨れて…
「おいしいだろ?」
「うん。」
お母さんもいつの間にか笑顔になっていた。
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