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どうにもこうにもパニックなのです!
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「じゃあ、またね!」
「失礼します~!」
さゆみ達はやっぱり出待ちをするっていうことだったけど、私はもう満足してたから、帰ることにした。
それに、リクさんとはLINEも出来るし、電話だって出来るから…
「ちょっと。」
駅の改札を抜けた時、後ろから腕を誰かに掴まれた。
びっくりして振り返ると、そこにはCLOWNのファンとおぼしき、ゴスロリの格好をした女の子が二人いた。
「な、なんですか?」
怖いけど…怖がってることを悟られたら、余計に酷いことをされるかもしれない。
だから、私は精神力を総動員して、相手をにらみつけた。
「私達、もうリクのファンはやめたから、あんたに良いこと教えてあげようと思ってね。」
にらみつけた方の女の子がそう言ってにやりと笑った。
「あんた、リクに気に入られてるみたいだけど…いい気にならない方が良いよ。
あんたなんかと、リクが釣り合うわけないんだから。」
「私…いい気になんてなってません。」
負けないんだから!
私、怖くても泣いたりしないんだから!
「前からリクには女がいるって噂はあったんだけど…あんた、それ知ってた?」
私は首を振った。
そんなわけないんだから。
そりゃあ昔のことならわからないけど、リクさんは、今は私を愛してくれてるんだから。
「リクのことは諦めた方が良い。あんたのためだよ。」
「どういうことですか?」
「じゃあ、教えてあげるけど……リクは結婚してるんだ。」
(……えっ!?)
「う、嘘よ、そんなの…」
「嘘じゃないよ。リクには子供もいるんだから。
最近、籍を入れたみたいだよ。」
(セキヲイレタ……?)
嘘だとわかってても、それは衝撃的な話だった。
きっと、そんなの根も葉もない噂なのに、心臓がドキドキして足が震えた。
「あんたも早く目を覚ました方が良いよ。
妻子持ちの男なんか、想ってもどうにもならないんだから。
万一、うまいこと言われても、信じちゃいけないよ。」
「わ、私…そんな噂信じません。
リ、リクさんのこと、信じてますし、これからもファンを続けます。」
声が震えないように必死でそう言ったら、女の子たちは私を見ながらくすくすと笑った。
「○○駅の南出口から商店街を抜けてまっすぐ歩いたら木の多い公園があるんだけど…そのあたりにリクは住んでるみたいだよ。
この子が…日曜日にそこで子供と遊んでるリクを見たんだ。
その子…リクのことを『パパ』って呼んでたんだって。」
「そ、そんな…」
「私、その近くにおばあちゃんの家があるんだ。
おばあちゃん家に用事があって向かってたら、たまたま見ちゃってさ。」
「う、嘘!!」
私はその場から駆け出した。
嘘なのに、絶対にそんなこと、嘘なのに…
それでも、心が苦しくてたまらなかった。
「じゃあ、またね!」
「失礼します~!」
さゆみ達はやっぱり出待ちをするっていうことだったけど、私はもう満足してたから、帰ることにした。
それに、リクさんとはLINEも出来るし、電話だって出来るから…
「ちょっと。」
駅の改札を抜けた時、後ろから腕を誰かに掴まれた。
びっくりして振り返ると、そこにはCLOWNのファンとおぼしき、ゴスロリの格好をした女の子が二人いた。
「な、なんですか?」
怖いけど…怖がってることを悟られたら、余計に酷いことをされるかもしれない。
だから、私は精神力を総動員して、相手をにらみつけた。
「私達、もうリクのファンはやめたから、あんたに良いこと教えてあげようと思ってね。」
にらみつけた方の女の子がそう言ってにやりと笑った。
「あんた、リクに気に入られてるみたいだけど…いい気にならない方が良いよ。
あんたなんかと、リクが釣り合うわけないんだから。」
「私…いい気になんてなってません。」
負けないんだから!
私、怖くても泣いたりしないんだから!
「前からリクには女がいるって噂はあったんだけど…あんた、それ知ってた?」
私は首を振った。
そんなわけないんだから。
そりゃあ昔のことならわからないけど、リクさんは、今は私を愛してくれてるんだから。
「リクのことは諦めた方が良い。あんたのためだよ。」
「どういうことですか?」
「じゃあ、教えてあげるけど……リクは結婚してるんだ。」
(……えっ!?)
「う、嘘よ、そんなの…」
「嘘じゃないよ。リクには子供もいるんだから。
最近、籍を入れたみたいだよ。」
(セキヲイレタ……?)
嘘だとわかってても、それは衝撃的な話だった。
きっと、そんなの根も葉もない噂なのに、心臓がドキドキして足が震えた。
「あんたも早く目を覚ました方が良いよ。
妻子持ちの男なんか、想ってもどうにもならないんだから。
万一、うまいこと言われても、信じちゃいけないよ。」
「わ、私…そんな噂信じません。
リ、リクさんのこと、信じてますし、これからもファンを続けます。」
声が震えないように必死でそう言ったら、女の子たちは私を見ながらくすくすと笑った。
「○○駅の南出口から商店街を抜けてまっすぐ歩いたら木の多い公園があるんだけど…そのあたりにリクは住んでるみたいだよ。
この子が…日曜日にそこで子供と遊んでるリクを見たんだ。
その子…リクのことを『パパ』って呼んでたんだって。」
「そ、そんな…」
「私、その近くにおばあちゃんの家があるんだ。
おばあちゃん家に用事があって向かってたら、たまたま見ちゃってさ。」
「う、嘘!!」
私はその場から駆け出した。
嘘なのに、絶対にそんなこと、嘘なのに…
それでも、心が苦しくてたまらなかった。
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