愛しのカレはV（ヴィジュアル）系

どうにもこうにもパニックなのです！

１６

「え……ほんだら、二人は付き合ってるんか？」

 「まぁな……って言いたいところだけど、今、返事待ち。
なかなか返事くれないんだ。
なぁ、ヅラ子…いいかげん返事くれよ。」

リクさんったら、何言ってんの？
 信じられない！！
さゆみがリクさんのこと好きなの知ってて、なんでここでそんなこと言うのよ！？ 



 「璃愛…どうして話してくれなかったの？」

さゆみの責めるような口調に、私はどう返事したら良いのかわからなかった。 



でも、ずっと黙ってるわけにはいかない。 
 何か言わなきゃ！
 出来るだけさゆみを傷付けないように…



「あ、あのね…わ、私、本気にしてないから。
リクさん、私をからかってるだけなんだよ。」

 「おまえなぁ…まだそんなこと言ってるのか。
 俺、何度も言っただろ？本気で好きだって。」

 「そ、そんなこと言ってない！
 私のことが気になってたとは言ったけど、好きだなんて一言も聞いてない！」

なんだか感情が高ぶって、大きな声をあげてしまった。 
だって…本当のことだもん。 
リクさんは私を好きだなんて言わなかった。 



 「馬鹿、気になるっていうのは好きだってことだろ。」

 「違うと思います！」

 「考えてみろよ。
 普通、嫌いな奴とかどうでも良い奴のことが気になるか？」

 「そ、それは…」

それは確かにそうだけど…
で、でも…とにかく、今、そんな話をするのは違うよ！
リクさんは、私をみつめながら小さくため息を吐いた。