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信じられないことが起きました。

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 「さゆみ、今どこ?」

 「え…?部室だけど、どうかしたの?」

 「今から行くから!」



 慌てて電話を切ると、私は部室に向かって駆け出した。



 *



 「さゆみ!」

 飛び込んで来た私を、一回生の部員達が驚いたような顔をしてみつめる。



 「一体、どうしたのよ?」

 「ごめん…他の子がいるとは思ってなくて…」

 「あの子達だって、たまには来るよ。
それより、どうしたの?ママの用事は?」

 私は小さく頷き、LINEの画面をさゆみに見せた。



 「こ、これっ!」

 今度は部員達の視線が大きな声を上げたさゆみに集まった。
 私達は素知らぬ顔をして、席に座った。



 「ほら、見て。
キースさん、さっきはまだ寝てたんだよ。
だから返信がなかったんだよ。」

 他の子に聞かれないように、小声で囁く。



 「でも、その後も着信なかったじゃん。」

 「あ…あ、なんかね、どっかに当たったらしくて電源が切れてたんだ。」

 電源を切ってたっていうのはなんとなくはばかられて、私はちょっとだけ嘘を吐いた。



 「マジ!?すごいタイミングだね。
でも、良かったじゃない!
キースさん、やっぱり璃愛と連絡取りたかったんだね。
やったじゃん!」

 「そ、そんなことないよ。」

 「まだそんなこと言ってんの?
ほら、これ見てごらんよ。
 『みつけてくれてほんまありがとう』って書いてあるじゃん。
っていうか、キースさんLINEまで関西弁なんだね。」

あ、言われてみれば確かにそうだ。
 関西の人ってみんなこんな風にやりとりしてるのかな?



 「それにしても、あんた…ヅラ子って呼ばれるの、気に入ってたの?」

 私はぶんぶんと首を振った。



 「じゃあ、なんで?」

さゆみが指差したのは、『いえ、ヅラ子で大丈夫です。』っていう文面。



 「うん…なんか、頭がパニくってたっていうか…すぐに後悔して訂正しようと思ったんだけど、間に合わなかったっていうか…」

 「何やってんのよ、もう…
で、なんでここで止まってるの?」

 「なんでって…この先どんな会話をしたら良いのかわからなくなって、とにかく、さゆみに相談しようと思って戻って来たから…」

 「もう30分以上ほったらかしてるじゃん!
 早くなにか返しなよ!」

 「え…なんて?」

 「だから…いつも起きるの遅いんですか?とか…」

 「あ、そっか…」

 私は言われた通りの文面を送った。
だけど、それに対する返信は待っても待っても戻って来なかった。
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