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ジョン

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「な、言った通りだろ?」

決まり悪そうな顔ではにかむリオの横で、ラルフが自信ありげに呟いた。



「本当にあんたは抜けてるんだな。
……こんな時間までよく眠れたもんだ…」

「リオさんは、私を町まで送って下さったからお疲れになったんだわ。
私のせいで、すみません。」

「いえ、そんな……スージーさんのせいなんかじゃありませんよ。
お恥ずかしい話なんですが……僕、こういうことはよくあるんです。」

リオは暗くなってから、アンドリューの小屋に戻った。
スージーを送った帰り、転んで腰を打ち、休んでるうちに眠くなってそのまま寝こんでしまったというどこか不自然な言い訳を、アンドリュー達は何の疑いもなく信じた。
アンドリューは、リオの帰りが遅くなった理由を聞くより前に、朝からの不思議な出来事を話して聞かせた。
ラルフも話に割り込み、人間の言葉を話すラルフにリオは大袈裟に驚いて見せた。



「リオ…ごめんな。
嘘吐いてて。
あんたは気付いてたみたいだけど、俺…貴族の息子なんかじゃなかったんだ。
それに.アンドリューって名前も嘘だ。
……本当はジョンなんだ。」

アンドリューはそう言うと、上目遣いにリオの表情をうかがった。



「そんなこと、気にしないで下さい。
僕、そういうことはあまり気にならないんです。
名前がアンドリューさんでもジョンさんでも、あなたはあなたなんだから、それで良いと思いますよ。」

「……俺は俺で良い、か…
……あんたはきっと自分に自信があるんだな。
自分のことを信じてるから、そんな風に思えるんだな。
……俺も、これからは少しずつ自分を信じられるようになると思うんだ。
ありのままの俺に引け目を感じなくなれるように、頑張っていこうと思う。」

リオはその言葉に、微笑みながら深く頷く。




「アンドリューさん、僕だって自分を信じてるわけでも受け入れてるわけでもないですよ。
嫌いな所も、認めたくない所もいっぱいあります。
でも、そういう気持ちが大きければ大きいほど、苦しむのは自分だってことに気付いたんです。
自分で自分を苦しめるなんて、ものすごく馬鹿げたことだなって思ったんですよ。
だから、なるべくそういう気持ちを減らしていこうと…こう見えても僕も努力してるんですよ。
僕は基本的に苦しい事は嫌いですから…もっと幸せな気持ちになれるよう…僕もまだまだ張りますよ!」

 
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