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フレッド

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「そりゃあ、そうだよな。
普通の人間に魔力を盗む事なんてこと出来るもんじゃないからな。
……だいたい、あいつは人間の願いを叶えてなんてくれるはずないんだ。
そんな人の善い女じゃない。
ただ、力のある魔法使いだってことが有名になりすぎて、それでおかしな風に話が広まったんだろうな。
そんな話を信じて命を落としてしまうなんて、本当に気の毒なことだ。」

「……僕も、心の底ではきっと信じてなかったんだと思います。
魔法使いなんていない…そんな気持ちがあるにはあったんですが、それでも、ほんの僅かな希望でも……それにすがりたかった。
だから、あの沼地に向かい、それが却って……」

リオは俯き、溢れ出る涙をそっと指で拭った。



「だめだと思っても、無駄だと思っても諦めきれない想い……
結果はどうであれ、そのために全力を尽くしたことは悪いことじゃないと思うぜ。」

「そうでしょうか?
僕はそうは思わない…
良い結果が出せなかったのは、きっと僕が間違った選択をしたからだと思います…」

フレッドは、その言葉に小さく笑う。



「あんたはまだ若いからそう思うんだ。
それが良い結果だったか、悪い結果だったかを決めるのはその人間の心だ。
同じ結果でも、誰もがそう感じるわけじゃない。
……今は、悩んで苦しめば良い。
それも、あんたが選んだ道だ。
そして、いつか考え方が変わったら、それはそれで良いんだと思うぜ。
要するに今の自分がすべてではないってことさ。
自分の前には一本の道しかないと思っても、それはあんたがそれしか見てないってだけの話なんだ。
道なんていくらでもある。
だが、そのことに気付かなきゃ、やっぱり道は一つだけなんだな。
ややこしいかな?
とにかく、今、自分が間違った選択をしたと思ってるのならそれはそれで良いんだ。
……な、それはそうと今夜は泊まっていくだろ?
そろそろ食事でも作らないといけないな。
ま、たいしたものはないが、我慢してくれよ!」

リオが答える間もなくフレッドはそう言うと、リオの肩を二度叩いて奥の部屋に歩いて行った。 
 
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