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フレッド

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 「なるほど…
そいつは災難だったな…」

そう言いながら男は、リオに同情するような視線を送った。



リオは、自分の達の身に起こった変化について、男に話して聞かせた。
男は見た目の印象とは違い、話してみると穏やかで優しく、リオの話す言葉に真剣に耳を傾けた。
名をフレッドと言い、薬を作りそれを売って生計を立てているということだった。



「あんたやその猫が落ちた沼っていうのは、もしかしたらシューラルフィールの沼のことか?」

「フ、フレッドさん!
シューラルフィールをご存知なんですか!?」

フレッドの口から飛び出たシューラルフィールの名前に、リオは思わず身を乗り出した。



「そりゃあ、彼女は有名だからな。
残念ながら知り合いだってわけじゃあないぜ。
彼女は、俺みたいな魔法使いの端くれのことなんて、その存在すら知らないだろうよ。」

「シューラルフィールはそんなに有名な魔法使いなんですか!?」

「あぁ、もちろんだとも。
元はといえば、あの沼地は別の魔法使いのものだったんだ。
詳しいいきさつは知らないが、それを分捕ったくらいだからな。
たいした奴であることは間違い無いさ。
……それにしても、そんな危険な場所に結界も張ってないとは酷い話だな…
まぁ、あいつの沼地は相当な広さだっていうし、それも無理のないことなのかな。
なぁ、その沼地ってどのくらい広いんだ?」

「どのくらいって…僕にも実はよくわからないんです。
ものすごく広いように感じましたが、ラルフの話によると、沼の場所は一定ではなく日々変わっていて、それによって沼地に入りこんだ者を惑わし出られなくしてるんだってことでした。
でも、確かに広さもかなりのものだとは思いますよ。」

フレッドは、その言葉に感心したように高い音で口笛を吹く。



「そんなすごい魔法を操るとは、さすがはシューラルフィールだな。
おそらく、奴は入るのを拒む結界は張らずに、入って来た奴を出られないようにすることで、沼にたまった魔力を盗まれないようにしてるんだな、きっと。」

「魔力を盗むなんてこと…僕達には出来るはずもないのに…
それどころか、沼がそんな目的に使われてるなんてことも僕はラルフに聞くまで知りませんでした。
たいていの人はそうだと思います。
だけど、僕と同じように魔法使いを探しに行った人が、何人もあの沼で命を落としてるらしいんです。」

 
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