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魔法使いの沼地

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「ショーン…どうしたの?!」

「ち…近寄るな!悪魔め!!
おまえ…リオに化けてやがったんだな!」

その声は、昨日村人から浴びせられたものと同じく、憎しみと恐怖の入り混じったものだった。



「ショーン!!僕だよ!
リオだよ!」

リオは、必死になって叫ぶ。



「リオだって…?で…でも…その姿は……」

ショーンは、自分が今見ているものと、それとは裏腹なその言葉にすっかり混乱していた。



「ショーン!目を閉じて!
僕の声だけを聞いて!!」

「そ、そんなこと言って、俺が目を閉じた隙に俺を殺す気なんじゃないのか…!」

「そうじゃない!!」

リオは、一瞬考え、やがて、自らがショーンに背を向けた。



「ショーン、これなら大丈夫だろ?」

「……リオ…本当におまえリオなのか?
俺にはおまえは醜悪な悪魔の姿に見える…
ついさっきまではリオだったのに……畜生!なんでなんだ!?」

悪魔の姿を見なくなったことで、ショーンにはほんの少し落ちつきが戻ったが、何を信じて良いのかわからない状況に苛立った声を上げた。



「ショーン……君は、子供の頃…僕が落として割った君のお母さんの香水瓶を、自分が壊したんだって言ってかばってくれた…」

「えっ?」

ショーンの驚きをよそに、リオは言葉を続ける。



「君の初恋の相手はキャリーだった。
キャリーが、引っ越していった時、君は裏山の洞窟でわぁわぁ泣いて…」

「……リオ……
おまえ、やっぱり本当のリオなんだな…
疑って悪かった…ごめんよ!」

「ショーン…僕の身にはやっぱり異変が起こってるみたいだ。
……もしかしたら、これは魔法使いの沼地に行ったことと何か関係があるのかもしれない。
僕はもう一度、あの場所へ行ってみるよ。
借金のことは、申し訳ないんだけど、もう少し待っててくれるように君から頼んどいてくれ。
必ず、返すから。」

「リオ……おまえ、やっぱりリオだよ。
こんな時に、そんなことを言う悪魔なんていないもんな。」

ショーンはそう言って、鼻をすすった。



「リオ…」

「ショーン、来ないで。」

リオに近付こうとしたショーンの足が停まった。



「君を怖がらせたくないから…
じゃ、皆によろしくね!」

「あ…リオ!!」

リオは駆け出した。
ショーンの方を一度も振り返ることなく…

リオの瞳からは、熱い涙が溢れ出していた。
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