28 / 135
魔法使いの沼地
13
しおりを挟む
「ショーン…どうしたの?!」
「ち…近寄るな!悪魔め!!
おまえ…リオに化けてやがったんだな!」
その声は、昨日村人から浴びせられたものと同じく、憎しみと恐怖の入り混じったものだった。
「ショーン!!僕だよ!
リオだよ!」
リオは、必死になって叫ぶ。
「リオだって…?で…でも…その姿は……」
ショーンは、自分が今見ているものと、それとは裏腹なその言葉にすっかり混乱していた。
「ショーン!目を閉じて!
僕の声だけを聞いて!!」
「そ、そんなこと言って、俺が目を閉じた隙に俺を殺す気なんじゃないのか…!」
「そうじゃない!!」
リオは、一瞬考え、やがて、自らがショーンに背を向けた。
「ショーン、これなら大丈夫だろ?」
「……リオ…本当におまえリオなのか?
俺にはおまえは醜悪な悪魔の姿に見える…
ついさっきまではリオだったのに……畜生!なんでなんだ!?」
悪魔の姿を見なくなったことで、ショーンにはほんの少し落ちつきが戻ったが、何を信じて良いのかわからない状況に苛立った声を上げた。
「ショーン……君は、子供の頃…僕が落として割った君のお母さんの香水瓶を、自分が壊したんだって言ってかばってくれた…」
「えっ?」
ショーンの驚きをよそに、リオは言葉を続ける。
「君の初恋の相手はキャリーだった。
キャリーが、引っ越していった時、君は裏山の洞窟でわぁわぁ泣いて…」
「……リオ……
おまえ、やっぱり本当のリオなんだな…
疑って悪かった…ごめんよ!」
「ショーン…僕の身にはやっぱり異変が起こってるみたいだ。
……もしかしたら、これは魔法使いの沼地に行ったことと何か関係があるのかもしれない。
僕はもう一度、あの場所へ行ってみるよ。
借金のことは、申し訳ないんだけど、もう少し待っててくれるように君から頼んどいてくれ。
必ず、返すから。」
「リオ……おまえ、やっぱりリオだよ。
こんな時に、そんなことを言う悪魔なんていないもんな。」
ショーンはそう言って、鼻をすすった。
「リオ…」
「ショーン、来ないで。」
リオに近付こうとしたショーンの足が停まった。
「君を怖がらせたくないから…
じゃ、皆によろしくね!」
「あ…リオ!!」
リオは駆け出した。
ショーンの方を一度も振り返ることなく…
リオの瞳からは、熱い涙が溢れ出していた。
「ち…近寄るな!悪魔め!!
おまえ…リオに化けてやがったんだな!」
その声は、昨日村人から浴びせられたものと同じく、憎しみと恐怖の入り混じったものだった。
「ショーン!!僕だよ!
リオだよ!」
リオは、必死になって叫ぶ。
「リオだって…?で…でも…その姿は……」
ショーンは、自分が今見ているものと、それとは裏腹なその言葉にすっかり混乱していた。
「ショーン!目を閉じて!
僕の声だけを聞いて!!」
「そ、そんなこと言って、俺が目を閉じた隙に俺を殺す気なんじゃないのか…!」
「そうじゃない!!」
リオは、一瞬考え、やがて、自らがショーンに背を向けた。
「ショーン、これなら大丈夫だろ?」
「……リオ…本当におまえリオなのか?
俺にはおまえは醜悪な悪魔の姿に見える…
ついさっきまではリオだったのに……畜生!なんでなんだ!?」
悪魔の姿を見なくなったことで、ショーンにはほんの少し落ちつきが戻ったが、何を信じて良いのかわからない状況に苛立った声を上げた。
「ショーン……君は、子供の頃…僕が落として割った君のお母さんの香水瓶を、自分が壊したんだって言ってかばってくれた…」
「えっ?」
ショーンの驚きをよそに、リオは言葉を続ける。
「君の初恋の相手はキャリーだった。
キャリーが、引っ越していった時、君は裏山の洞窟でわぁわぁ泣いて…」
「……リオ……
おまえ、やっぱり本当のリオなんだな…
疑って悪かった…ごめんよ!」
「ショーン…僕の身にはやっぱり異変が起こってるみたいだ。
……もしかしたら、これは魔法使いの沼地に行ったことと何か関係があるのかもしれない。
僕はもう一度、あの場所へ行ってみるよ。
借金のことは、申し訳ないんだけど、もう少し待っててくれるように君から頼んどいてくれ。
必ず、返すから。」
「リオ……おまえ、やっぱりリオだよ。
こんな時に、そんなことを言う悪魔なんていないもんな。」
ショーンはそう言って、鼻をすすった。
「リオ…」
「ショーン、来ないで。」
リオに近付こうとしたショーンの足が停まった。
「君を怖がらせたくないから…
じゃ、皆によろしくね!」
「あ…リオ!!」
リオは駆け出した。
ショーンの方を一度も振り返ることなく…
リオの瞳からは、熱い涙が溢れ出していた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
転生幼児は夢いっぱい
meimei
ファンタジー
日本に生まれてかれこれ27年大学も出て希望の職業にもつき順風満帆なはずだった男は、
ある日親友だと思っていた男に手柄を横取りされ左遷されてしまう。左遷された所はとても忙しい部署で。ほぼ不眠不休…の生活の末、気がつくとどうやら亡くなったらしい??
らしいというのも……前世を思い出したのは
転生して5年経ってから。そう…5歳の誕生日の日にだった。
これは秘匿された出自を知らないまま、
チートしつつ異世界を楽しむ男の話である!
☆これは作者の妄想によるフィクションであり、登場するもの全てが架空の産物です。
誤字脱字には優しく軽く流していただけると嬉しいです。
☆ファンタジーカップありがとうございました!!(*^^*)
今後ともよろしくお願い致します🍀
【完結】絶対神の愛し子 ~色違いで生まれた幼子は愛を知る~
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
産まなければよかった! 母親に罵られた幼子は、傷つけられた心と体を抱えて蹲る。
髪の色を父親から、瞳の色は母親から受け継ぐ世界で、幼子は両親のどちらとも違う色で生まれた。それが不幸の始まりであり、同時に幼子が絶対者に愛される要因となる。
絶対権力と圧倒的な力を誇る神に庇護され、世界の要となる愛し子は幸せを掴む。
ハッピーエンド確定。
【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう
※2023/09/25――エブリスタ、ファンタジートレンド 1位
※2023/09/13――完結
※2023/06/05――アルファポリス、女性向けHOT 38位
※2023/06/05――カクヨム、異世界ファンタジー日間 62位
※2023/06/04――小説家になろう、ハイファンタジー日間 16位
※2023/06/04――エブリスタ、ファンタジートレンド 1位
※2023/06/04――連載開始
公爵家御令嬢に転生?転生先の努力が報われる世界で可愛いもののために本気出します「えっ?私悪役令嬢なんですか?」
へたまろ
ファンタジー
『祝』第17回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞!
ここは、とある恋愛ゲームの舞台……かもしれない場所。
主人公は、まったく情報を持たない前世の知識を持っただけの女性。
王子様との婚約、学園での青春、多くの苦難の末に……婚約破棄されて修道院に送られる女の子に転生したただの女性。
修道院に送られる途中で闇に屠られる、可哀そうな……やってたことを考えればさほど可哀そうでも……いや、罰が重すぎる程度の悪役令嬢に転生。
しかし、この女性はそういった予備知識を全く持ってなかった。
だから、そんな筋書きは全く関係なし。
レベルもスキルも魔法もある世界に転生したからにはやることは、一つ!
やれば結果が数字や能力で確実に出せる世界。
そんな世界に生まれ変わったら?
レベル上げ、やらいでか!
持って生まれたスキル?
全言語理解と、鑑定のみですが?
三種の神器?
初心者パック?
肝心の、空間収納が無いなんて……無いなら、努力でどうにかしてやろうじゃないか!
そう、その女性は恋愛ゲームより、王道派ファンタジー。
転生恋愛小説よりも、やりこみチートラノベの愛読者だった!
子供達大好き、みんな友達精神で周りを巻き込むお転婆お嬢様がここに爆誕。
この国の王子の婚約者で、悪役令嬢……らしい? かもしれない?
周囲の反応をよそに、今日もお嬢様は好き勝手やらかす。
周囲を混乱を巻き起こすお嬢様は、平穏無事に王妃になれるのか!
死亡フラグを回避できるのか!
そんなの関係ない!
私は、私の道を行く!
王子に恋しない悪役令嬢は、可愛いものを愛でつつやりたいことをする。
コメディエンヌな彼女の、生涯を綴った物語です。
家に住み着いている妖精に愚痴ったら、国が滅びました
猿喰 森繁 (さるばみ もりしげ)
ファンタジー
【書籍化決定しました!】
11月中旬刊行予定です。
これも多くの方が、お気に入り登録してくださったおかげです
ありがとうございます。
【あらすじ】
精霊の加護なくして魔法は使えない。
私は、生まれながらにして、加護を受けることが出来なかった。
加護なしは、周りに不幸をもたらすと言われ、家族だけでなく、使用人たちからも虐げられていた。
王子からも婚約を破棄されてしまい、これからどうしたらいいのか、友人の屋敷妖精に愚痴ったら、隣の国に知り合いがいるということで、私は夜逃げをすることにした。
まさか、屋敷妖精の一声で、精霊の信頼がなくなり、国が滅ぶことになるとは、思いもしなかった。
モンスターを仲間にして世界征服しよう!
まほぴん
ファンタジー
俺の職業はモンスターテイカー!この職業はモンスターを従えることができる。モンスターを従える条件は三つ!
1、自分の力を認めさせる
2、モンスターと信頼関係をつくる
3、モンスターのなわばりボスを倒す
この物語は主人公マコトが少しずつモンスターを仲間にしながら、戦力を増やしていき成長していく作品である。モンスター集団へのスカウト、王国との闘い、大規模な戦争。さまざまな困難を乗り越えてマコトは世界征服ができるのか?
ユニークスキルで異世界マイホーム ~俺と共に育つ家~
楠富 つかさ
ファンタジー
地震で倒壊した我が家にて絶命した俺、家入竜也は自分の死因だとしても家が好きで……。
そんな俺に転生を司る女神が提案してくれたのは、俺の成長に応じて育つ異空間を創造する力。この力で俺は生まれ育った家を再び取り戻す。
できれば引きこもりたい俺と異世界の冒険者たちが織りなすソード&ソーサリー、開幕!!
第17回ファンタジー小説大賞にエントリーしました!
異世界ナーロッパ転生物語~世界最後の転生者~
gulu
ファンタジー
様々な転生者によって形勢されたナーロッパと呼ばれる世界に転生した主人公。
最強の戦闘力とSSRの魔力を持ち合わせた主人公はそのチートでなりあがろうとするが、王子として生まれたせいでこれ以上成り上がれない。
内政チートもやらせてもらえず、発明チートも先人がさんざん開発したせいで何もできない。
ここは異世界転生の醍醐味を先人がしゃぶり尽くしてしまった世界。
これは、うす味になってしまった異世界を生きる転生王子の物語。
【完結】呪いで異形になった公爵様と解呪師になれなかった私
灰銀猫
恋愛
学園では首席を争うほど優秀なエルーシアは、家では美人で魔術師の才に溢れた双子の姉の出涸らしと言われて冷遇されていた。魔術師の家系に生まれながら魔術師になれるだけの魔力がなかったからだ。そんなエルーシアは、魔力が少なくてもなれる解呪師を秘かに目指していた。
だがある日、学園から戻ると父に呼び出され、呪いによって異形となった『呪喰らい公爵』と呼ばれるヘルゲン公爵に嫁ぐように命じられる。
自分に縁談など来るはずがない、きっと姉への縁談なのだと思いながらも、親に逆らえず公爵領に向かったエル―シア。
不安を抱えながらも公爵に会ったエル―シアは思った。「なんて解除のし甲斐がある被検体なの!」と。
呪いの重ねがけで異形となった公爵と、憧れていた解呪に励むエル―シアが、呪いを解いたり魔獣を退治したり神獣を助けたりしながら、距離を縮めていく物語。
他サイトでも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる