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魔法使いの沼地

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「な、なんだって!
じゃあ、昼間、皆が見たっていう悪魔はおまえだったっていうのか?」

「そうだよ…
でも、なぜ、僕がそんなものに間違えられるのか、まったくわからないんだ。」

「……俺は昨夜飲み過ぎて今朝は寝坊したから、騒ぎに気が付いて出て行った時にはもう悪魔は逃げた後だったんだ。
それでちょっと気がひけてたのもあって、何かあっちゃいけないと見回りにやってきたら、ここに灯かりが見えて…それでやって来たわけなんだが…」

ショーンはそこで言葉を切ると、ランプを手に持ち、リオの顔の間近に近付け、まじまじとみつめる。



「……ここを経った時より痩せてはいるが、どこも変わった所はないぞ。
俺の知ってるリオに間違いない。
なんだって、それを悪魔に見間違えるんだ!?
……あ」

ショーンは、何かを思い出したように膝を叩いた。



「どうかしたの?」

「そういえば、おまえのことを死んだ兄貴だとか死んだ姑だとか……
……昔、隣町で起こった殺人事件の犯人だって言ってた奴もいたぞ。
それって、どういうことなんだ?」

ショーンは腕を組み、小首を傾げる。



「それなら僕も聞いたよ。
僕のことを姑だって言ってたおばさんがいたし……兄貴だって言ってたのは、確かマーシィさんだったよ。」

「マーシィさん…?
マーシィさんの兄さんって言ったら、確か、二人で山登りに行った時に遭難して兄さんだけが死んだんだったよな?」

「……うん、そんな話だったと思う。
僕がまだ子供の頃の話だから、僕はその人の顔さえ覚えてないけど…」

「だよな。
俺も覚えてないよ。
……でも、なんだって、そんな人と間違えられるんだろう?
まず、おまえのことが皆には同じように見えてないっていうのがおかしいよな。
それに、俺にはちゃんといつものリオに見えてるし…一体、どういうことなんだ…?」

「さぁ…僕にもまったくわからない。
まるで狐にでもつままれたような気分だよ。
いや、そんな生易しいもんじゃないね…僕はあやうく殺される所だったんだから…」

そう言ってリオは、小さな溜息を吐いた。 
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