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「もうっ!」



怒声と共にガラッと扉が開いて…
入って来たのは、一条さんだった。



「私の席はどこ!?」

「君、チケットは当たったの?」

「何言ってるの、私は遼の許嫁なのよ!抽選なんて関係ないわ!」



(抽選?チケット?何のことなんだろう?)



「まぁっ!なんで、あなたがいるの!?」

一条さんが私に気付いて、私を睨みつける。



「もう忘れたのかい?
僕の彼女の雅美。
無理言って来てもらったんだ。」

「な、な、な……」

一条さん、かなり頭に来てるみたい。
遼も言い方が悪いよね。
私は何とか微笑もうとしたけど、顔が引きつって無理だった。



「さぁ、わかったら出て行って。」

「お、覚えておきなさいよ!」

一条さんは捨て台詞を吐いて出ていった。



「雅美、大丈夫?」

「う、うん、私は大丈夫。
でも…いいの?」

「あぁ、姫香は逞しい子だから、こんなのなんともないよ。」

「あ、あの…もしかして、ここ抽選で当たらないと入れなかったの?」

「あぁ、そんなこと、気にしなくて良いんだよ。
雅美は特別なんだから。」

遼はにっこり微笑む。
『特別』だなんてそんなこと言われたら…嬉しいけど、なんか照れ臭い。
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