247 / 291
scene 13
9
しおりを挟む
「畜生!ルシファーの奴!!
それで、トレルとイアンはどうしたんだろう?
今、二人はどこに?」
「それはわからん…
とにかく、今は、ミューラント達がうまくルシファーを封じてくれることを祈るしかなさそうだ…
すべては、それからだな…」
リュタン達は、長い呪文を唱え続けている。
思ったよりも強い魔力を遣うのか、皆の顔からは玉のような汗が流れていた。
「あ…!!」
ミューラントの持つ宝石の輝きが増すのと同時に、ルシファーの身体から黒い煙のようなものがもやもやとわきだし、一点に集まっていく。
その煙は、徐々に黒さを増し、だんだんと小さくなっていった。
ランディ達がその光景に釘付けになっていると、突然乾いた高い音が響き、ミューラントの持つ宝石は砂のように砕け散り、黒い煙は真っ黒な宝石となって床の上に転がった。
「あ!アズラエル!
鎖が消えて行くぞ!!」
ルシファーを縛りつけていた金色の鎖が、空気に溶けこむように薄くなり消えていく…
鎖が消え、支えを失い身体のバランスを崩したルシファーをアズラエルがしっかりと受け止めた。
「こいつは、一体どうなってるんだ?!
ルシファーは全然変わらないじゃないか。
もしかしたら失敗したのか?」
リュタン達は、床に倒れ、大きく肩で息をしていた。
「い…いや、成功だ。
ルシファーは、その黒い宝石に封じこめられた。」
「あれに…?」
「その石に触れてはいけません!!」
宝石を拾おうとしたランディにミューラントの厳しい声が飛んだ。
「で…でも、リンク…
ルシファーは全然変わってないぜ!」
「ランディ、あれは、オルジェとケイトの子供のルシファーだ。」
「な…なんだって!
それじゃあ、ルシファーの中から悪魔のルシファーを追い出したってことなのか?」
「その通りさ。」
二人の会話の途中でリュタンの一人が苦しみ出し…やがて、静かに息を引き取った。
その光景にランディは言葉を失った。
「とても大きな魔力を使う術だったからね…」
「お…おまえ、そんな冷静な…」
「ルシファーが三つの宝石を手にすれば、もっと恐ろしいことになっただろう…」
「………」
ランディは、事の重大さをあらためて気付かされた。
それで、トレルとイアンはどうしたんだろう?
今、二人はどこに?」
「それはわからん…
とにかく、今は、ミューラント達がうまくルシファーを封じてくれることを祈るしかなさそうだ…
すべては、それからだな…」
リュタン達は、長い呪文を唱え続けている。
思ったよりも強い魔力を遣うのか、皆の顔からは玉のような汗が流れていた。
「あ…!!」
ミューラントの持つ宝石の輝きが増すのと同時に、ルシファーの身体から黒い煙のようなものがもやもやとわきだし、一点に集まっていく。
その煙は、徐々に黒さを増し、だんだんと小さくなっていった。
ランディ達がその光景に釘付けになっていると、突然乾いた高い音が響き、ミューラントの持つ宝石は砂のように砕け散り、黒い煙は真っ黒な宝石となって床の上に転がった。
「あ!アズラエル!
鎖が消えて行くぞ!!」
ルシファーを縛りつけていた金色の鎖が、空気に溶けこむように薄くなり消えていく…
鎖が消え、支えを失い身体のバランスを崩したルシファーをアズラエルがしっかりと受け止めた。
「こいつは、一体どうなってるんだ?!
ルシファーは全然変わらないじゃないか。
もしかしたら失敗したのか?」
リュタン達は、床に倒れ、大きく肩で息をしていた。
「い…いや、成功だ。
ルシファーは、その黒い宝石に封じこめられた。」
「あれに…?」
「その石に触れてはいけません!!」
宝石を拾おうとしたランディにミューラントの厳しい声が飛んだ。
「で…でも、リンク…
ルシファーは全然変わってないぜ!」
「ランディ、あれは、オルジェとケイトの子供のルシファーだ。」
「な…なんだって!
それじゃあ、ルシファーの中から悪魔のルシファーを追い出したってことなのか?」
「その通りさ。」
二人の会話の途中でリュタンの一人が苦しみ出し…やがて、静かに息を引き取った。
その光景にランディは言葉を失った。
「とても大きな魔力を使う術だったからね…」
「お…おまえ、そんな冷静な…」
「ルシファーが三つの宝石を手にすれば、もっと恐ろしいことになっただろう…」
「………」
ランディは、事の重大さをあらためて気付かされた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ハズレ職業の料理人で始まった俺のVR冒険記、気づけば最強アタッカーに!ついでに、女の子とVチューバー始めました
カティア
ファンタジー
疲れ切った現実から逃れるため、VRMMORPG「アナザーワールド・オンライン」に没頭する俺。自由度の高いこのゲームで憧れの料理人を選んだものの、気づけばゲーム内でも完全に負け組。戦闘職ではないこの料理人は、ゲームの中で目立つこともなく、ただ地味に日々を過ごしていた。
そんなある日、フレンドの誘いで参加したレベル上げ中に、運悪く出現したネームドモンスター「猛き猪」に遭遇。通常、戦うには3パーティ18人が必要な強敵で、俺たちのパーティはわずか6人。絶望的な状況で、肝心のアタッカーたちは早々に強制ログアウトし、残されたのは熊型獣人のタンク役クマサンとヒーラーのミコトさん、そして料理人の俺だけ。
逃げるよう促されるも、フレンドを見捨てられず、死を覚悟で猛き猪に包丁を振るうことに。すると、驚くべきことに料理スキルが猛き猪に通用し、しかも与えるダメージは並のアタッカーを遥かに超えていた。これを機に、負け組だった俺の新たな冒険が始まる。
猛き猪との戦いを経て、俺はクマサンとミコトさんと共にギルドを結成。さらに、ある出来事をきっかけにクマサンの正体を知り、その秘密に触れる。そして、クマサンとミコトさんと共にVチューバー活動を始めることになり、ゲーム内外で奇跡の連続が繰り広げられる。
リアルでは無職、ゲームでは負け組職業だった俺が、リアルでもゲームでも自らの力で奇跡を起こす――そんな物語がここに始まる。
娘と二人、異世界に来たようです……頑張る母娘の異世界生活……ラブ少し!
十夜海
ファンタジー
母一人、子一人。
天涯孤独でたった二人の家族。
でも、高校の入学式へ向かう途中に居眠り運転のダンプカーに突っ込まれて二人仲良く死亡……。
私はどーでもいい、だって娘まで生まれた。でも、娘はまだ16歳なりかけ。なんで?なんで死ななきゃならない。
厳しい受験を乗り越えて、ようやくキャピキャピ楽しい高校生活だ。彼氏だってできるかもしれない。
頑張ったのに。私だって大学までやるために身を粉にして頑張ったのだ。
大学どころか、高校生活までできないなんて!
ひどい。
願ったのは、娘の幸せと恋愛!
気づけば異世界に……。
生きてる?やったね!
ん?でも高校ないじゃん!
え?魔法?あ、使える。
あれ?私がちっさい?
あれ?私……若い???
あれぇ?
なんとか娘を幸せな玉の輿に乗せるために頑張る母。
そんな母娘の異世界生活。
でも……おかしいな?なんで私が子供なんですか?
##R18で『なろう』で投稿中です。
ラブ少なめなので、R15でファンタジー系で手直ししつつ、こちらに投稿させていただきます。
付与って最強だと思いませんか? 悪魔と呼ばれて処刑されたら原初の悪魔に転生しました。とりあえず、理想の国を創るついでに復讐しようと思います!
フウ
ファンタジー
勇者にして大国アルタイル王国が王太子ノアールの婚約者。
そんな将来を約束された一人の少女は……無実の罪でその人生にあっさりと幕を下ろした。
魔王を復活させて影で操り、全てを赦そうとした聖女様すらも手に掛けようとした公爵令嬢。
悪魔と呼ばれた少女は勇者ノアールによって捕縛され、民の前で処刑されたのだ。
全てを奪われた少女は死の間際に湧き上がるドス黒い感情のままに強く誓い、そして願う。
「たとえ何があったとしても、お前らの言う〝悪魔〟となって復讐してやる!!」
そんな少女の願いは……叶えられた。
転生者であった少女の神によって与えられた権利によって。
そうして悪魔という種族が存在しなかった世界に最古にして始まり……原初の悪魔が降り立ったーー
これは、悪魔になった一人の少女が復讐を……物理的も社会的にも、ざまぁを敢行して最強に至るまでの物語!!
※ この小説は「小説家になろう」 「カクヨム」でも公開しております。
上記サイトでは完結済みです。
上記サイトでの総PV1200万越え!!
世界征服はじめました
(笑)
ファンタジー
ののか みおんは普通の女子高生だった。天才女子高生であることをのぞけば。
ある朝、学校に行くのがめんどくさくなったみおんは思いついた。
「そうだ。世界征服しよう」
かくてののかみおんは世界征服をはじめた。
婚約者は聖女を愛している。……と、思っていたが何か違うようです。
棗
恋愛
セラティーナ=プラティーヌには婚約者がいる。灰色の髪と瞳の美しい青年シュヴァルツ=グリージョが。だが、彼が愛しているのは聖女様。幼少期から両想いの二人を引き裂く悪女と社交界では嘲笑われ、両親には魔法の才能があるだけで嫌われ、妹にも馬鹿にされる日々を送る。
そんなセラティーナには前世の記憶がある。そのお陰で悲惨な日々をあまり気にせず暮らしていたが嘗ての夫に会いたくなり、家を、王国を去る決意をするが意外にも近く王国に来るという情報を得る。
前世の夫に一目でも良いから会いたい。会ったら、王国を去ろうとセラティーナが嬉々と準備をしていると今まで聖女に夢中だったシュヴァルツがセラティーナを気にしだした。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生赤ちゃんカティは諜報活動しています そして鬼畜な父に溺愛されているようです
れもんぴーる
ファンタジー
実母に殺されそうになったのがきっかけで前世の記憶がよみがえった赤ん坊カティ。冷徹で優秀な若き宰相エドヴァルドに引き取られ、カティの秘密はすぐにばれる。エドヴァルドは鬼畜ぶりを発揮し赤ん坊のカティを特訓し、諜報員に仕立て上げた(つもり)!少しお利口ではないカティの言動は周囲を巻き込み、無表情のエドヴァルドの表情筋が息を吹き返す。誘拐や暗殺などに巻き込まれながらも鬼畜な義父に溺愛されていく魔法のある世界のお話です。
シリアスもありますが、コメディよりです(*´▽`*)。
*作者の勝手なルール、世界観のお話です。突っ込みどころ満載でしょうが、笑ってお流しください(´▽`)
*話の中で急な暴力表現など出てくる場合があります。襲撃や尋問っぽい話の時にはご注意ください!
《2023.10月末にレジーナブックス様から書籍を出していただけることになりました(*´▽`*)
規定により非公開になるお話もあります。気になる方はお早めにお読みください! これまで応援してくださった皆様、本当にありがとうございました!》
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる